ファクタリングが返せないときは弁護士に相談!5つの解決策と費用相場を徹底解説【2026年最新】
この記事の監修者
FundBridge ファクタリングスペシャリスト
監修者 FundBridge編集部
「ファクタリングの支払期日が迫っているのに、お金が用意できない…」
「取り立ての電話が止まらなくて、もう精神的に限界…」
このようなファクタリングの返済トラブルに追い詰められている経営者の方は、決して少なくありません。資金繰りを改善するために利用したはずのファクタリングが、かえって経営を圧迫してしまうケースは、実は非常に多いのです。
結論からお伝えすると、ファクタリングの返済で困ったときには、弁護士への相談が有効な選択肢の一つとなり得ます。弁護士が介入することで取り立ての停止に向けた対応や分割交渉の余地が生まれる場合があり、契約内容によっては、契約の有効性自体が争点となるケースもあります。
本記事では、以下の情報を詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- ファクタリングを返せない場合に起こるリスクと法的な問題点
- 弁護士に相談すべき具体的なケースと相談のベストタイミング
- 弁護士が行う5つの解決策と費用相場
- 悪質業者から身を守る方法と根本的な資金繰り改善策
ファクタリング会社おすすめTOP3
手数料・入金スピード・審査通過率・口コミを総合評価。
初めての方でも安心して選べる人気の3社を厳選。手数料・スピード・口コミで人気の3社を厳選
【結論】ファクタリングを返せないときに弁護士ができる5つのこと
ファクタリングの支払いができない状況に陥ったとき、「自分で何とかしなければ」と一人で抱え込んでしまう経営者の方は多いのではないでしょうか。しかし、ファクタリングの返済トラブルは法的な知識がなければ適切に対処することが難しい問題です。
ここでは、弁護士に相談した場合に具体的にどのような対応をしてもらえるのか、5つのポイントに分けて解説していきます。まずは「弁護士に相談すると何が変わるのか」を把握していただくことが、解決への第一歩となるでしょう。
取り立ての停止・窓口の一本化
弁護士に依頼する最大のメリットの一つが、ファクタリング会社からの直接的な取り立てを止められる可能性があるという点です。
弁護士がファクタリング会社に対して「受任通知」を送付すると、以降の連絡窓口はすべて弁護士に一本化されます。これにより、ファクタリング会社から経営者の方への直接の連絡が控えられる傾向があります(ただし、相手方の対応によります)。
金融庁では、ファクタリングに関する注意喚起の中で、貸金業類似の取引や悪質な業者による被害に注意するよう呼びかけています。中には、ヤミ金融類似の手口で深夜・早朝の電話、勤務先への連絡、家族への接触など、過度な取り立てを行うケースが報告されています。
弁護士が介入することで、こうした違法な取り立てが停止されるだけでなく、経営者の方は本業に集中できる環境を取り戻すことができます。精神的な負担が大幅に軽減されるという意味でも、早期の弁護士相談は非常に重要です。
ただし、弁護士の受任通知に法的な強制力があるわけではないため、悪質業者が完全に連絡を止めない場合もあります。その場合は、警察への相談や仮処分申立てなど、さらに強い法的手段を検討することになります。
ファクタリング会社との分割払い・減額交渉
「ファクタリングの売掛金は一括で支払わなければならない」というのが原則です。しかし、弁護士が代理人として交渉することで、分割払いや減額に応じてもらえるケースが少なくありません。
弁護士が介入した場合、ファクタリング会社は「回収困難債権」と認識する傾向があるとされています。ファクタリング会社としても、訴訟で時間とコストをかけるよりは、分割でも確実に回収できるほうが合理的だと判断するわけです。
具体的には、弁護士が以下のような交渉を行います。
- 支払期日の延長(1〜3か月程度の猶予を求める)
- 分割払いへの切り替え(3回〜12回程度の分割に変更)
- 遅延損害金の減額または免除
- 手数料の一部返還(暴利行為に該当する場合)
重要なのは、経営者の方が個人で分割交渉を持ちかけても、ファクタリング会社側が応じてくれる可能性は非常に低いということです。正規のファクタリング会社であれば、分割を認めること自体が貸金業法に抵触する可能性があるためです。しかし弁護士を通じた法的な枠組みでの交渉であれば、和解契約として分割を実現できる道が開けます。
違法契約(偽装ファクタリング)の無効主張・既払い手数料の返還請求
ファクタリングを返せない状況に陥っている方の中には、そもそも契約自体が違法な「偽装ファクタリング」である可能性があります。この場合、弁護士を通じて契約の無効を主張し、支払義務自体をなくすことができるかもしれません。
形式上はファクタリング(売掛債権の売買)を装いながら、実態としては高金利の貸付けを行っている業者は「貸金業」に該当するとされています。貸金業登録をしていない業者がこのような行為を行った場合、貸金業法違反となり、契約自体が無効になる可能性があるのです。
具体的に、偽装ファクタリングと判断される特徴は以下のとおりです。
- 「償還請求権あり」の契約(売掛先が支払えない場合に利用者が買い戻す義務がある)
- 手数料が年利換算で20%を大幅に超えている
- 実質的に売掛債権を「担保」として資金を貸し付けている
こうしたケースでは、弁護士が契約書の内容を精査し、利息制限法や貸金業法に照らして違法性を主張することで、返済額の減額や、すでに支払った手数料の返還請求(不当利得返還請求等)につなげられる可能性があります(実際の認否は個別判断となります)。
債権譲渡通知の送付阻止・取引先への説明代行
2社間ファクタリングを利用している場合、ファクタリング会社への支払いが滞ると、売掛先(取引先)に対して「債権譲渡通知」が送付されるリスクがあります。これは経営者にとって非常に深刻な問題です。
法務省が管轄する債権譲渡登記制度に基づき、ファクタリング会社は債権譲渡の事実を第三者に対抗するための手続きを行います。取引先に通知が届くと、「あの会社はファクタリングを利用するほど資金繰りが苦しいのか」と思われ、取引関係が悪化したり、最悪の場合は取引停止に至ることも考えられます。
弁護士が介入することで、以下の対応が可能になります。
- ファクタリング会社に対し、債権譲渡通知の送付を待つよう交渉する
- すでに通知が送付された場合、取引先に対して弁護士が状況を説明し、信頼関係の維持を図る
- 供託手続きへの対応(取引先が売掛金の支払先に迷い、法務局に供託した場合の対処)
取引先との関係を守ることは、事業を存続させる上で最も重要な要素の一つです。弁護士の介入によって、ビジネスへのダメージを最小限に抑えることができるのは大きなメリットといえるでしょう。
自己破産・法的整理のサポート
ファクタリングだけでなく、銀行融資やビジネスローンなど複数の債務を抱え、事業の存続が難しい状況にある場合は、自己破産や民事再生などの法的整理を検討することになります。
法テラス(日本司法支援センター)では、経済的に余裕のない方を対象に、弁護士費用の立替制度や無料法律相談を提供しています。「弁護士費用も払えない」と感じている方でも、まずは法テラスに問い合わせることで解決の糸口が見つかることがあります。
自己破産を申し立てた場合、ファクタリング会社への支払義務も免責の対象となる可能性があります。ただし、いくつかの注意点があります。
- 売掛金の使い込みが「免責不許可事由」に該当する可能性がある(破産法第252条)
- 破産直前のファクタリング利用が「偏頗弁済(へんぱべんさい)」とみなされるリスクがある
- 給与ファクタリングの場合、浪費に該当するかどうかの判断が必要
これらの法的判断は専門性が高いため、自己破産を検討する場合は必ずファクタリングトラブルに詳しい弁護士に相談することをおすすめいたします。弁護士が破産管財人との交渉も含めて一貫してサポートしてくれるため、手続きの負担も大幅に軽減されます。
そもそもなぜ「返せない」状態に陥るのか?5つの原因パターン
ファクタリングは本来、売掛金の早期現金化という正当な資金調達手段です。しかし現実には、ファクタリングの支払いができなくなり深刻なトラブルに発展するケースが後を絶ちません。
「自分だけがこんな状況に陥っているのではないか」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には多くの経営者が同様の問題を抱えています。ここでは、ファクタリングが「返せない」状態に陥る5つの原因パターンを整理していきます。ご自身がどのパターンに該当するかを把握することが、適切な対処法を見つける第一歩です。
パターン1|売掛金を運転資金に使い込んでしまった
最も多いパターンの一つが、取引先から回収した売掛金を、ファクタリング会社に支払わずに運転資金として使い込んでしまうケースです。
2社間ファクタリングでは、取引先から入金された売掛金をいったん利用者が受け取り、そこからファクタリング会社に送金するという流れになります。しかし、日々の資金繰りに追われていると、「今月の家賃を払わなければ」「従業員の給与が間に合わない」と、目の前の支払いに売掛金を充ててしまうことがあるのです。
e-Gov法令検索で確認できる民法の規定によると、ファクタリング契約で譲渡した売掛債権はすでにファクタリング会社のものです。つまり、売掛金の使い込みは「他人のお金に手をつけた」ことになり、法的には横領罪(刑法第252条)に問われるおそれがあります。
ただし、実際に刑事告訴にまで至るケースはそれほど多くはありません。多くの場合、ファクタリング会社は刑事告訴をちらつかせながら支払いを迫ってきます。このような状況では、パニックに陥って間違った判断をしてしまうことがありますので、早めに弁護士に相談することが重要です。
弁護士が介入すれば、使い込んだ金額について現実的な返済計画を立て、ファクタリング会社との和解交渉を行うことが可能です。
パターン2|売掛先が倒産・入金遅延して回収できない
利用者に落ち度がなくても、取引先(売掛先)の都合で売掛金が回収できないケースがあります。取引先が倒産した場合や、取引先自身の資金繰りの悪化により入金が大幅に遅延している場合がこれに該当します。
近年、企業倒産件数は高めの水準で推移しているとされ、中小企業の経営環境は引き続き厳しい状況にあるといわれています。取引先の突然の倒産は、ファクタリング利用の有無にかかわらず、あらゆる企業にとってのリスクです。
ここで重要なのは、正規のファクタリング契約(償還請求権なし=ノンリコース契約)であれば、売掛先が支払えなくなっても利用者に返済義務は発生しないということです。売掛金の回収リスクはファクタリング会社が負うのが原則だからです。
しかし、悪質なファクタリング会社の中には、契約書に「償還請求権あり」と記載していたり、口頭で「売掛先が払わなかったらあなたが責任を取ってください」と迫ってくることがあります。このような場合は、契約内容自体が違法である可能性がありますので、弁護士に契約書を確認してもらうことを強くおすすめいたします。
パターン3|高額手数料による「ファクタリング依存スパイラル」に陥っている
ファクタリングの返済が困難になる最も根深い原因が、この「依存スパイラル」です。多くの競合記事ではあまり深く触れられていませんが、ファクタリングで苦しんでいる経営者の方の多くが、このパターンに該当していると考えられます。
そのメカニズムは次のとおりです。
- 資金繰りの改善のために、来月入金予定の100万円の売掛金を80万円で売却する(手数料20%)
- 翌月、取引先から入金された100万円をファクタリング会社に送金する
- しかし手元に残った80万円では翌月の経費を賄えない
- 再び来月の売掛金をファクタリングで現金化する
- 毎月20万円ずつ手数料が流出し、資金繰りがさらに悪化する
中小企業庁では、中小企業の経営相談窓口(よろず支援拠点等)を整備しており、資金繰り改善を含む経営課題に関する相談を受け付けています。
このスパイラルから抜け出すためには、ファクタリングの利用を一度止めて、根本的な資金繰りの見直しを行う必要があります。しかし、ファクタリングを止めた途端に資金ショートしてしまうため、自力では抜け出せないのが現実です。
弁護士に相談することで、ファクタリング会社との交渉を行いながら、公的融資制度の活用や経営改善計画の策定など、スパイラルから脱出するための総合的なサポートを受けることができます。
パターン4|悪質業者との契約で法外な手数料を請求されている
近年、正規のファクタリング会社を装った悪質業者によるトラブルが急増しています。これらの業者の中には、形式上はファクタリング(売掛債権の買取)を謳いながら、年利換算で著しく高額な手数料を徴収しているとされるケースも報告されています。
悪質業者の典型的な手口としては、以下のようなものがあります。
- 月利換算で極めて高い水準の手数料を設定している(年利換算で数百%相当となる例もある)
- 「償還請求権あり」で実質的に貸付と同じ構造になっている
- 契約書を渡さない、または契約内容を十分に説明しない
- 支払いが遅れると「詐欺で刑事告訴する」と脅してくる
- 債権譲渡通知の送付をちらつかせて追加の支払いを要求する
このようなケースでは、そもそもファクタリング契約自体が無効であり、返済する義務がない可能性があります。弁護士に契約書を精査してもらい、違法性が認められれば、すでに支払った手数料の返還(過払い金請求)を求めることもできるのです。
「契約してしまったのだから仕方ない」と諦める必要はありません。悪質業者に対しては、法的手段で対抗することが可能ですので、まずは弁護士に相談してみてください。
パターン5|複数のファクタリング会社を利用し多重債務化している
一社のファクタリング会社への支払いが難しくなった結果、別のファクタリング会社を利用して資金を工面し、その返済のためにさらに別の業者を利用する――いわゆる「多重ファクタリング」に陥っているケースもあります。
多重ファクタリングが危険な理由は、同じ売掛債権を複数の業者に売却する「二重譲渡」に発展するリスクがあるということです。二重譲渡は詐欺罪に該当する可能性があり、刑事責任を問われるおそれがあります。
また、複数のファクタリング会社それぞれから取り立てを受けることになるため、精神的・時間的な負担も非常に大きくなります。
このような多重債務状態からの脱出は、個人での対応がほぼ不可能です。弁護士に相談することで、すべてのファクタリング会社との交渉を一括して任せることができ、債務整理や場合によっては法的整理(自己破産・民事再生)を含めた包括的な解決策を提案してもらえます。
ファクタリングを返せないまま放置するとどうなる?4つのリスク
「もう少し待てば何とかなるかもしれない」「連絡しなければそのうち諦めてくれるのではないか」――このように考えて、ファクタリング会社への支払いを放置してしまう方もいます。
しかし、放置は状況を確実に悪化させます。ファクタリングの支払いを放置した場合に起こりうる4つのリスクを、ここでしっかりと理解しておきましょう。リスクを正しく認識することが、適切な行動を起こすための動機づけになるはずです。
リスク1|遅延損害金が膨らみ続ける(契約で定められた利率が適用される)
ファクタリング会社への支払いが期日を過ぎると、遅延損害金が発生します。これは、支払いの遅延に対するペナルティとして契約書に定められている損害賠償金のことです。
e-Gov法令検索で確認できる民法第415条(債務不履行による損害賠償)等の規定により、債務不履行となった場合に、契約に基づき遅延損害金が発生する場合があります。ファクタリング契約における遅延損害金の利率は契約ごとに定められており、年14.6%程度が用いられている例もあるとされています(実際の利率は契約書をご確認ください)。
例えば、500万円の支払いが3か月遅延した場合、年14.6%で計算すると遅延損害金は約18万円程度となります(あくまで試算例で、実際の金額は契約条件により異なります)。さらに遅延が長引けば、その分負担は累積していきます。
ただし注意していただきたいのは、そもそもファクタリング手数料が暴利に該当する場合は、遅延損害金の請求自体が不当である可能性があるということです。この判断には法的な専門知識が必要ですので、弁護士に確認してもらうことをおすすめいたします。
放置すればするほど支払うべき金額が増えていくという事実を認識し、早期に対処することが重要です。
リスク2|売掛先に債権譲渡通知が送付され取引関係が崩壊する
ファクタリングを返せないまま放置した場合に、経営者の方が最も恐れるのがこのリスクではないでしょうか。2社間ファクタリングでは通常、取引先にファクタリングの利用を知らせる必要はありません。しかし、支払いが滞ると、ファクタリング会社は取引先に対して「債権譲渡通知」を送付することがあります。
法務省が所管する債権譲渡登記制度では、債権の譲渡を第三者に対抗するための手続きが定められています。ファクタリング会社が債権譲渡通知を取引先に送付すると、以下のような事態が発生します。
- 取引先が「この会社は資金繰りが厳しいのだ」と認識し、信用が低下する
- 取引先との契約に「債権譲渡禁止特約」が含まれている場合、契約違反を理由に取引を解除される
- 取引先がファクタリング会社と利用者のどちらに支払うべきか分からず、法務局に売掛金を「供託」する
特に建設業や製造業など、特定の取引先との長期的な信頼関係が事業の基盤となっている業種では、債権譲渡通知の送付は事業の存続に直結する深刻な問題です。
弁護士に早期に相談することで、債権譲渡通知が送付される前にファクタリング会社との交渉に入り、通知の送付を阻止できる可能性が高まります。この意味でも、「放置しない」ことが何よりも大切なのです。
リスク3|横領罪・詐欺罪として刑事告訴されるおそれがある
ファクタリングの支払いを放置した場合、最悪のシナリオとして刑事事件に発展するおそれがあります。
e-Gov法令検索で確認できる刑法の規定によると、取引先から回収した売掛金をファクタリング会社に支払わず使い込んだ場合は横領罪(刑法第252条、懲役5年以下)に、架空の売掛債権を利用してファクタリング契約を行った場合は詐欺罪(刑法第246条、懲役10年以下)に該当するおそれがあります。
実際に刑事告訴に至るケースはそれほど多くはありませんが、ファクタリング会社が「刑事告訴する」と脅してくることは珍しくありません。特に悪質な業者は、この脅しを利用して追加の支払いを強要してくることもあります。
ここで注意していただきたいのは、「刑事告訴する」と言われたからといって、すぐに逮捕されるわけではないということです。告訴は被害届の提出とは異なり、警察が捜査を開始するかどうかは別問題です。しかし、だからといって放置してよいわけではありません。
弁護士に相談することで、刑事リスクを正確に評価してもらい、万が一告訴された場合の対応策も含めて準備することができます。刑事告訴のリスクがある場合は、法的な専門家のサポートを早めに得ることが望ましいといえます。
リスク4|訴訟・強制執行により事業継続が困難になる
ファクタリング会社への支払いを長期間放置すると、最終的には民事訴訟を提起される可能性があります。訴訟で敗訴した場合、判決に基づいて強制執行(財産の差し押さえ)が行われることになります。
民事執行法に基づく強制執行では、預金口座、売掛金、不動産、動産(設備・在庫など)が差し押さえの対象となり得ます(手続については裁判所の案内も参照してください)。事業に必要な口座や資産が差し押さえられれば、事業の継続は事実上困難になります。
また、訴訟を提起される前に「支払督促」という手続きが取られることもあります。支払督促は裁判所を通じた簡易的な債権回収手続きで、異議を申し立てなければ確定判決と同じ効力を持ちます。裁判所から届いた書類を放置してしまうと、知らないうちに強制執行が可能な状態になってしまうのです。
このような事態を防ぐためにも、ファクタリング会社からの連絡や裁判所からの書類を無視することは絶対に避けてください。弁護士に相談すれば、訴訟になる前の段階で和解交渉を行い、強制執行を回避するための方策を講じてもらえます。
弁護士に相談すべきタイミングはいつ?【早ければ早いほど有利】
「弁護士に相談したほうがいいのは分かったけれど、今の段階で相談してもいいのだろうか」「もう少し自分で頑張ってからのほうがいいのではないか」――このように迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、弁護士への相談は早ければ早いほど有利です。時間が経てば経つほど選択肢は狭まり、解決のコストも高くなっていきます。ここでは、3つのタイミング別に弁護士相談の効果を解説していきます。
最善のタイミング|「返せないかもしれない」と感じた時点
最も効果的なタイミングは、まだ支払期日が到来していない段階、つまり「このままだと返せないかもしれない」と感じた時点です。
この段階であれば、弁護士は以下のような先手を打つことができます。
- ファクタリング契約の内容を精査し、違法性がないか確認する
- 支払期日前にファクタリング会社と交渉し、穏便な解決を図る
- 公的融資制度など代替的な資金調達手段を検討する
- 万が一に備えた法的な対応策を準備する
法テラス(日本司法支援センター)では、無料の法律相談を実施しています。収入や資産が一定基準以下であれば、弁護士への相談が無料で受けられますので、まだ問題が深刻化していない段階でも気軽に利用することができます。
「弁護士に相談するのは大げさではないか」と感じるかもしれませんが、早期相談こそが最もコストを抑えた解決につながるのです。例えるなら、病気の初期段階で病院に行くのと、重症化してから救急搬送されるのとでは、治療の選択肢も費用も大きく異なるのと同じです。
要注意のタイミング|債権譲渡通知が送付される前
支払期日を過ぎてファクタリング会社からの催促が始まった段階は、「要注意」のタイミングです。この段階ではまだ債権譲渡通知は送付されていないことが多く、弁護士が交渉に入ることで取引先への影響を防ぐことが可能です。
債権譲渡通知は一度送付されると取り消すことができません。つまり、通知が送付される前と後では、弁護士が取れる対応策が大きく異なるのです。
債権譲渡通知が送付される前であれば、弁護士は以下の交渉を行うことができます。
- 通知の送付を延期するようファクタリング会社に求める
- 分割払いの和解案を提示し、通知の必要性をなくす
- 契約の違法性が認められる場合、契約自体の無効を主張する
一般的に、ファクタリング会社が債権譲渡通知を送付するまでには、支払期日から数週間〜1か月程度の猶予があることが多いとされています。しかし、悪質な業者の場合は支払日翌日にでも通知を送ると脅してくることがあります。この期間に弁護士に相談することが、事業へのダメージを最小限に抑えるカギとなります。
緊急のタイミング|取り立てが始まった・脅迫を受けた
すでにファクタリング会社からの激しい取り立てが始まっている場合や、「詐欺で刑事告訴する」「取引先に通知を送る」といった脅迫を受けている場合は、緊急で弁護士に相談すべきタイミングです。
警察庁では、ヤミ金融や違法な取り立て行為に関する相談を受け付けています。警察への相談も選択肢の一つですが、ファクタリングの法的な問題は警察だけでは解決できないことが多いため、弁護士への相談を並行して進めることが重要です。警察相談専用電話「#9110」に連絡すると、各地域の相談窓口を案内してもらえます。
この段階でも弁護士に相談するメリットは大きいです。弁護士が受任通知を送付することで取り立てが止まる可能性がありますし、すでに違法な取り立てが行われている場合は、その証拠を収集して損害賠償請求や刑事告訴に切り替えることもできます。
「もう手遅れかもしれない」と感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、状況が進行している段階であっても弁護士の介入によって取り得る選択肢があるケースは少なくありません。どの段階であっても、弁護士の介入によって状況を改善できる可能性は十分にあります。大切なのは、一日でも早く行動を起こすことです。
以下に、弁護士相談のタイミングと効果の関係をまとめました。
| タイミング | 弁護士ができること | 解決の難易度 |
|---|---|---|
| 支払期日前(最善) | 契約精査・予防的交渉・代替資金調達の検討 | ★☆☆(比較的容易) |
| 催促開始〜通知前(要注意) | 分割交渉・通知阻止・和解案の提示 | ★★☆(交渉次第) |
| 取り立て・脅迫開始(緊急) | 取り立て停止・違法性の主張・法的対抗措置 | ★★★(専門性が必要) |
| 訴訟提起後 | 応訴・反訴・和解交渉 | ★★★(時間とコスト大) |
ファクタリングのトラブルに強い弁護士の選び方と費用相場
弁護士に相談しようと決意したとき、次に気になるのは「どの弁護士に相談すればいいのか」「費用はいくらかかるのか」という点ではないでしょうか。ファクタリングのトラブルは比較的新しい法律問題であり、すべての弁護士が十分な経験を持っているわけではありません。
ここでは、信頼できる弁護士の見つけ方と、費用の相場感について詳しく解説していきます。
弁護士費用の相場(着手金・成功報酬・相談料の目安)
ファクタリングトラブルの弁護士費用は、事案の複雑さや利用しているファクタリング会社の数によって大きく異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
弁護士費用の設定は各法律事務所に委ねられており、統一的な基準はありません。しかし、ファクタリングトラブルの解決に関しては、おおよそ以下のような費用感が目安となります。
| 費用項目 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 初回相談料 | 無料〜5,000円(30分) | 無料相談を実施している事務所も多い |
| 着手金 | 10万〜30万円(1社あたり) | ファクタリング会社の数に応じて増加 |
| 成功報酬 | 減額分の10%〜20%程度 | 減額交渉に成功した場合に発生 |
| 任意交渉費用(3か月分) | 25万〜30万円(1社あたり) | 交渉期間を含む一括料金の事務所もある |
| 訴訟対応(別途) | 30万〜50万円程度 | 訴訟に発展した場合に追加で発生 |
「弁護士費用が高い」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで考えていただきたいのが「放置した場合のコスト」です。例えば、500万円のファクタリング返済を放置した場合、遅延損害金(年14.6%)だけで年間約73万円、取引先を失った場合の逸失利益、訴訟費用、信用回復のコストなどを合計すると、弁護士費用をはるかに上回る損失が発生します。
弁護士費用は短期的には負担となりますが、事業や信用への影響を踏まえて中長期的な観点から検討することが大切です。
ファクタリングに強い弁護士を見極める3つのチェックポイント
ファクタリングのトラブルは、一般的な債務整理とは異なる専門的な知識が求められます。
弁護士を選ぶ際には、以下の3つのポイントを確認してみてください。
チェックポイント1:ファクタリング案件の解決実績があるか
ファクタリングの法的問題は、債権譲渡、貸金業法、民法の暴利行為など、複数の法律領域にまたがる複合的な問題です。ファクタリング案件を実際に扱ったことがある弁護士であれば、ファクタリング会社の交渉パターンや裁判所の判断傾向を把握しているため、より効果的な戦略を立てることができます。
初回相談の際に、「これまでにファクタリングの案件を何件くらい扱ったことがありますか?」と率直に聞いてみることをおすすめいたします。
チェックポイント2:費用体系が明確に説明されるか
信頼できる弁護士は、初回相談の段階で費用の見積もりを明示してくれます。「やってみないと分からない」「成功したら考えましょう」といった曖昧な説明しかしない弁護士には注意が必要です。
着手金・成功報酬・実費などの内訳と、追加費用が発生する条件を書面で確認できる事務所を選びましょう。
チェックポイント3:初回相談で具体的な方針を示してくれるか
優れた弁護士は、初回相談(30分〜1時間程度)の中で、ある程度の方向性を示してくれます。「まず契約書を見せてください」「この手数料率なら違法性を主張できる可能性があります」など、具体的なアクションプランが出てくるかどうかは、弁護士の実力を測る重要な指標です。
弁護士費用が払えないときの対処法(法テラス・分割対応)
「弁護士に相談したいけれど、そもそも弁護士費用を払うお金がない」という方も多いでしょう。ファクタリングの返済に困っている状況で、さらに弁護士費用を工面するのは確かに大きな負担です。
しかし、費用の問題で弁護士相談を諦める必要はありません。以下の方法を活用することで、経済的な負担を軽減しながら法的サポートを受けることが可能です。
法テラス(日本司法支援センター)は、経済的に余裕のない方を対象に、弁護士費用の立替制度を提供しています。
法テラスの費用立替制度
収入や資産が一定基準以下であれば、弁護士費用を法テラスが立て替えてくれます。立て替えられた費用は、原則として月額5,000円〜10,000円程度の分割で返済する仕組みとされています(個別の状況により異なります)。生活保護を受給している場合は、返済が免除されることもあります。
無料法律相談の活用
多くの弁護士事務所が初回相談を無料で実施しています。まずは無料相談で状況を整理し、弁護士に解決の見通しと費用の目安を確認するところから始めてみてください。複数の事務所に相談して比較することも、よりよい選択につながります。
弁護士費用の分割払い対応
法テラスを利用しない場合でも、弁護士費用の分割払いに対応している事務所は少なくありません。相談の際に「分割払いは可能ですか」と確認してみてください。
大切なのは、費用の問題で行動を先延ばしにしないことです。弁護士費用を節約するために放置した結果、遅延損害金や訴訟費用がかさんでしまっては本末転倒になってしまいます。
悪質ファクタリング業者に騙されていた場合の法的救済策
ファクタリングの返済に苦しんでいる方の中には、「そもそも契約相手が悪質業者だったのではないか」と気づき始めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、ファクタリングを装った違法な貸付行為(偽装ファクタリング)は、社会問題として深刻化しています。
もし悪質業者との契約であった場合、返済義務自体がなくなる可能性があるという重要な事実を、ここで詳しく解説していきます。
「偽装ファクタリング」とは?貸金業法違反の実態
偽装ファクタリングとは、形式上は売掛債権の売買(ファクタリング)を装いながら、実態としては高金利の貸付けを行っている取引のことです。
金融庁は、ファクタリングに関する注意喚起の中で、「ファクタリングとして行われる取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものは、貸金業に該当するおそれがあります」との見解を示しています。
具体的に、以下のいずれかに該当する場合は偽装ファクタリング(実質的な貸付け)と判断される可能性が高いです。
- 償還請求権がある:売掛先が支払わなかった場合に利用者が買い戻す義務がある契約は、実質的に「返済義務付きの貸付け」と同じです
- 売掛債権の買取価格が著しく低い:例えば100万円の売掛金を50万円で買い取るなど、手数料が年利換算で数百%に相当する場合
- 利用者が回収リスクを負う構造:ファクタリング会社が売掛金の回収リスクを負わず、すべてのリスクを利用者に転嫁している場合
偽装ファクタリングを行っている業者は、貸金業の登録を受けていないことがほとんどです。無登録で貸金業を営むことは貸金業法違反であり、10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金(またはその両方)が科される重大な犯罪行為です。
つまり、悪質業者こそが法律に違反しているのであり、利用者が一方的に責められるべきではないのです。
違法契約なら返済義務が消滅する可能性がある(判例・法的根拠)
偽装ファクタリングと認定された場合、その契約は貸金業法違反として無効になる可能性があります。
これは利用者にとって非常に重要なポイントです。
e-Gov法令検索で確認できる貸金業法の規定によると、貸金業登録をしていない業者が行った貸付けは違法であり、利息制限法の上限(年15%〜20%)を超える利息部分は無効となります。さらに、出資法の上限金利(年109.5%)を超える場合は刑事罰の対象にもなります。
近年の裁判例では、ファクタリングを装った取引が実質的に貸付けであると認定され、利息制限法の上限を超える部分の返還が命じられたケースが複数報告されています。
弁護士に契約書を精査してもらうことで、以下のような法的主張が可能になります。
- 契約自体が公序良俗に違反し無効である(民法第90条)
- 利息制限法の上限を超える手数料は無効であり、支払い済みの手数料の返還を求める
- 暴利行為として不法行為に基づく損害賠償を請求する
「契約書にサインしてしまったから」「お金を受け取ってしまったから」という理由で諦めてしまう方が多いのですが、違法と評価される契約については、法律上の保護を受けられないとされています。弁護士の力を借りることで、正当な権利を主張できる可能性があります。
違法と認定された場合、支払い済みの手数料の返還を求められるケースも
偽装ファクタリングの被害者にとってさらに心強いのが、すでに支払った高額な手数料について、契約が貸付けと認定された場合などに、その一部の返還を求められる可能性があるということです。
経済産業省では、売掛債権の利用促進に関する政策を推進しており、正常なファクタリング取引と悪質業者による違法取引を区別する指針を示しています。
返還請求の検討対象となり得るのは、以下のようなケースです(実際に認められるかは個別判断となります)。
- ファクタリング手数料が、契約が貸付けと評価された場合の利息制限法の上限金利(元本額に応じ年15〜20%)を上回っている場合
- 繰り返しファクタリングを利用し、累計の手数料支払額が多額に上っている場合
- 事務手数料、調査手数料など名目を変えて実質的に高額な利息を徴収されていた場合
例えば、毎月高率な手数料が発生するファクタリングを長期間利用した場合、累計の手数料負担は元本に対して非常に大きな割合に及ぶことがあります。仮に契約が貸付けと認定された場合には、利息制限法の上限(元本に応じて年15%〜20%)を超える部分について返還を求められる可能性が指摘されていますが、実際に認められるかどうかは個別の事案ごとに裁判所等で判断されます。
不当利得返還請求などには時効がありますので(民法上の原則として権利行使可能と知ったときから5年、行使可能なときから10年)、心当たりのある方は早めに弁護士に相談されることをおすすめいたします。
給与ファクタリングは「ヤミ金」と同じ ― 絶対に放置しない
事業者向けのファクタリングとは別に、「給与ファクタリング」と呼ばれるサービスにも注意が必要です。給与ファクタリングとは、個人の将来の給与を「売掛債権」として買い取り、手数料を差し引いた金額を事前に支払うというものです。
金融庁は、給与ファクタリングについて、業として個人が使用者に対して有する賃金債権を買い取り金銭を交付し当該債権に係る資金の回収を行うことは「貸金業に該当する」との見解を示しています(最高裁令和5年2月20日決定でも同旨が示されています)。つまり、給与ファクタリングを行っている業者は貸金業の登録が必要であり、無登録で行っている場合は違法な「ヤミ金」と同じ扱いになるのです。
給与ファクタリング業者のトラブルでは、以下のような被害が報告されています。
- 年利換算で数百%以上に相当する極めて高額な手数料が請求される事例
- 1日に多数回に及ぶ執拗な取り立て電話
- 職場や家族への連絡による精神的なダメージ
- 返済しても新たな利用を強要される
給与ファクタリングについては、判例・行政の見解上、貸金業に該当するとされており、無登録業者との契約は法的に問題が大きいケースが多いとされています。被害に心当たりがある方は、すぐに弁護士に相談し、適切な対処をご検討ください。状況によっては、取り立ての停止に向けた対応や、すでに支払った金額の返還請求も検討できる場合があります。
弁護士に相談する前にやってはいけない3つのNG行動
ファクタリングの返済に追い詰められると、パニック状態になって誤った行動を取ってしまうことがあります。
ここでは、弁護士に相談する前に絶対にやってはいけない3つのNG行動をお伝えいたします。これらを避けるだけでも、状況の悪化を防ぐことができます。
NG1|ファクタリング会社からの連絡を無視する・逃げる
最もやってはいけないのが、ファクタリング会社からの連絡を一切無視することです。「電話に出なければそのうち諦めるだろう」と考える方もいらっしゃいますが、これは完全に逆効果です。
支払督促は相手方が異議を申し立てなければ、確定判決と同じ効力を持ちます。つまり、ファクタリング会社が支払督促を申し立て、利用者がこれを無視した場合、そのまま強制執行(口座差し押さえ等)が可能になってしまうのです。
連絡を無視し続けると、ファクタリング会社は以下のようなエスカレーションを行います。
- 電話やメールの頻度が増加する
- 内容証明郵便で正式な催告書が届く
- 債権譲渡通知が取引先に送付される
- 支払督促や訴訟が提起される
- 判決に基づく強制執行が行われる
連絡を完全に遮断するのではなく、弁護士に依頼して連絡窓口を弁護士に一本化するのが正しい対処法です。どうしても自分では対応できない状況であれば、その旨を簡潔に伝えた上で、「弁護士を通じて連絡します」と伝えるだけでも状況は大きく変わります。
NG2|新たなファクタリング契約で「自転車操業」を続ける
ファクタリング会社への支払いができないからといって、別のファクタリング会社と新たに契約して資金を工面するのは、極めて危険な行為です。これは消費者金融の「多重債務」と同じ構造で、問題を先送りにしているだけで、借金の総額は確実に増えていきます。
中小企業庁では、経営相談窓口「よろず支援拠点」を全国に設置し、資金繰りに困った中小企業への無料相談を実施しています。ファクタリングの自転車操業から抜け出すためには、このような公的な支援制度を活用して根本的な経営改善に取り組むことが必要です。
特に危険なのが、同じ売掛債権を複数のファクタリング会社に売却する「二重譲渡」です。これは明確に詐欺行為に該当し、刑事責任を問われるおそれがあります。目先の資金繰りのために取り返しのつかない事態に陥ってしまうことがないよう、十分にご注意ください。
自転車操業を続けている方は、いったん立ち止まって弁護士に相談することを強くおすすめいたします。弁護士は、すべてのファクタリング契約を整理した上で、最も合理的な解決策を提案してくれます。
NG3|売掛債権の二重譲渡で急場をしのごうとする
前述のNG2とも関連しますが、すでにファクタリング会社に譲渡した売掛債権を、別の業者にも売却する「二重譲渡」は、法的に極めて深刻な問題を引き起こします。
e-Gov法令検索で確認できる刑法第246条(詐欺罪)によると、人を欺いて財物を交付させた者は10年以下の懲役に処されます。二重譲渡は、後から契約したファクタリング会社に対して「この売掛債権はまだ譲渡されていません」と偽って契約している以上、詐欺罪に該当する可能性が非常に高いのです。
また、二重譲渡が発覚した場合、複数のファクタリング会社から同時に取り立てを受けることになり、状況はさらに混乱します。最悪の場合、ファクタリング会社同士が取引先に対してそれぞれ債権譲渡通知を送付し、取引先を巻き込んだトラブルに発展することもあります。
どれだけ資金繰りが苦しくても、二重譲渡だけは絶対に避けてください。もし、すでに二重譲渡をしてしまった場合は、一刻も早く弁護士に相談し、自首も含めた対応策を検討することが重要です。
弁護士対応後のキャッシュフロー再建ロードマップ
弁護士に相談してファクタリング会社との問題が解決しても、それで全てが終わりではありません。むしろ、問題が解決した後こそ、ファクタリングに依存しない健全な資金繰りを構築するための重要な時期です。
ここでは、弁護士対応後のキャッシュフロー再建のための3つのステップを解説していきます。同じ問題を繰り返さないために、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。
ステップ1|キャッシュフロー計算書の作成で現状を「見える化」する
ファクタリングに依存してしまった根本原因の多くは、自社のキャッシュフロー(お金の流れ)を正確に把握できていなかったことにあります。まず取り組むべきは、月次のキャッシュフロー計算書を作成し、「いつ・いくら入ってきて・いつ・いくら出ていくのか」を可視化することです。
中小企業庁が推進する「経営改善計画策定支援事業」では、認定経営革新等支援機関(税理士、公認会計士、中小企業診断士など)のサポートを受けながら経営改善計画を策定できます。費用の一部を国が補助する制度もありますので、積極的に活用されることをおすすめいたします。
キャッシュフローの見える化によって、以下のような改善ポイントが明確になります。
- 入金サイトと支払サイトのミスマッチ(入金が遅く、支払いが先に来る構造)
- 不採算取引の特定(手間がかかる割に利益が薄い取引)
- 固定費の見直し(家賃、人件費、リース料などの削減余地)
- 季節変動への対応(繁忙期・閑散期の資金需要の波)
「なんとなく資金が足りない」という状態から、「具体的にどこをどう改善すれば資金繰りが安定するか」が分かるようになることで、ファクタリングに頼らない経営基盤を築くことが可能になります。
ステップ2|公的融資制度・補助金を活用して資金繰りを安定させる
ファクタリングの手数料は、年利換算で数十%〜数百%にもなることがあります。一方、公的融資制度を活用すれば、年利1%〜3%程度の低金利で資金を調達することが可能です。
日本政策金融公庫では、中小企業や個人事業主を対象とした様々な融資制度を提供しています。特に以下の制度は、ファクタリングからの脱却を目指す事業者に有用です。
- セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金):一時的な業況悪化に対応するための融資制度
- マル経融資(小規模事業者経営改善資金):商工会議所等の推薦により、無担保・無保証人で利用可能
- 新型コロナウイルス関連特別貸付:コロナの影響で業況が悪化した事業者向け
また、補助金・助成金の活用も検討しましょう。小規模事業者持続化補助金や事業再構築補助金など、返済不要の資金を得られる制度もあります。
ただし、公的融資の審査には時間がかかるため(通常2週間〜1か月程度)、ファクタリングのように即日で資金を調達することはできません。この点を理解した上で、計画的に申請を進めることが大切です。
ステップ3|安全なファクタリング会社の選び方(再利用する場合)
キャッシュフローを改善した上で、なお一時的な資金繰りのためにファクタリングを利用する場面もあるかもしれません。その場合は、信頼できるファクタリング会社を選ぶことが何より重要です。
安全なファクタリング会社を選ぶためのチェックポイントは以下のとおりです。
信頼できるファクタリング会社の特徴
- 手数料率が明確に開示されている(2社間で2%〜18%程度が相場)
- 償還請求権なし(ノンリコース)の契約である
- 契約書が丁寧に作成され、事前に内容を確認させてくれる
- 会社情報(所在地、代表者名、資本金など)が公開されている
- 運営実績が長く、利用者の口コミ・評判が確認できる
避けるべきファクタリング会社の特徴
- 手数料が30%を超える
- 「審査なし」「ブラックOK」を過度に強調している
- 契約書を渡さない、または口頭だけで契約を進めようとする
- 所在地がレンタルオフィスで、連絡先が携帯電話のみ
- 償還請求権ありの契約を提示してくる
ファクタリング自体は、合法的かつ有用な資金調達手段です。問題はファクタリングそのものではなく、悪質な業者の存在と、依存的な利用パターンにあります。正しい知識を持って賢く活用することで、経営を支える力強いツールとなるでしょう。
よくある質問
Q1. ファクタリングの売掛金を「返せない」のは犯罪になりますか?
A:状況によって異なりますが、直ちに犯罪になるわけではありません。
取引先から売掛金を回収したにもかかわらず、故意にファクタリング会社に支払わず使い込んだ場合は、刑法第252条の横領罪に該当するおそれがあります。一方、取引先の倒産や入金遅延など、利用者の落ち度なく回収できなかった場合は、正規のノンリコース契約であれば利用者に責任は発生しません。
ファクタリング会社から「詐欺で訴える」と脅されても、すぐに逮捕されるわけではありませんので、冷静に弁護士へ相談してください。
Q2. 弁護士に依頼すれば取り立てはすぐ止まりますか?
A:多くの場合、弁護士の受任通知によって取り立ては止まります。
弁護士が「受任通知」をファクタリング会社に送付すると、以降の連絡はすべて弁護士を通じて行うよう求めることになります。正規のファクタリング会社であれば、受任通知を受け取った後は直接の連絡を控えるのが一般的です。ただし、悪質業者の場合は受任通知を無視して取り立てを続けるケースもあります。
その場合は、日本弁護士連合会に相談するとともに、警察への被害届の提出や仮処分の申立てなど、より強い法的手段を検討します。
Q3. ファクタリング会社との分割払い交渉は自力でもできますか?
A:自力での分割交渉は非常に難しいため、弁護士に依頼することをおすすめいたします。
正規のファクタリング会社が分割払いを認めると、それ自体が「貸付け」とみなされる可能性があるため、簡単には応じてもらえません。しかし弁護士が代理人として法的な枠組みで交渉を行えば、和解契約として分割を実現できる道が開けます。また、手数料が違法に高額な場合は、弁護士から減額を求めることも可能です。
法テラスの無料相談を活用すれば、費用の負担なく弁護士のアドバイスを受けることができます。
Q4. 弁護士費用の相場はどれくらいですか?分割払いは可能?
A:1社あたり25万〜30万円程度を目安としている事務所が多く、分割払いに対応している事務所もあります(事務所により異なります)。
ファクタリング1社との交渉にかかる費用は、着手金として10万〜30万円、成功報酬として減額分の10%〜20%が一般的な相場です。複数社と交渉する場合は社数に応じて増加します。経済的に厳しい方は、法テラス(日本司法支援センター)の費用立替制度を活用することで、月額5,000円〜10,000円の分割払いが可能です。
また、初回無料相談を実施している事務所も多いので、まずは費用の見積もりを取ることから始めてみてください。
Q5. 売掛先にファクタリングの利用がバレずに解決できますか?
A:弁護士に早期に相談すれば、取引先に知られることなく解決できる可能性は十分にあります。
2社間ファクタリングの場合、弁護士がファクタリング会社と交渉し、債権譲渡通知の送付前に和解が成立すれば、取引先にファクタリングの利用が知られることはありません。法務省が管轄する債権譲渡登記が行われていても、取引先が自ら登記を確認しない限り利用の事実は伝わりません。
ただし、すでに債権譲渡通知が送付されてしまった後では、取引先への通知を取り消すことはできません。このため、早期の弁護士相談が極めて重要です。
Q6. 自己破産をすればファクタリングの支払義務はなくなりますか?
A:自己破産で免責が認められれば、ファクタリング会社への支払義務も免除されます。
ただし、いくつかの注意点があります。売掛金を故意に使い込んだ場合は「免責不許可事由」に該当する可能性がありますし、破産直前にファクタリングを利用して特定の債権者に優先して返済した場合は「偏頗弁済」として問題になることがあります。また、給与ファクタリングの利用が「浪費」と判断される可能性もあります。
自己破産を検討される場合は、裁判所の手続案内を確認するとともに、ファクタリングトラブルに詳しい弁護士に必ず相談してください。
まとめ:ファクタリングが返せないときは「一人で抱え込まない」ことが最善策
ここまで、ファクタリングを返せない場合の対処法について詳しく解説してきました。
最後に、状況別のおすすめアクションと、覚えておいていただきたい3つのポイントをまとめます。
今すぐ取り立てを止めたい方 → ファクタリングトラブルに強い弁護士に相談
- 弁護士の受任通知で取り立てが停止する可能性がある
- 分割払い・減額交渉で現実的な解決策を見つけられる
- 契約内容によっては、契約の有効性自体が争点となる場合もある
まだ支払期日前の方 → 今のうちに弁護士の無料相談を活用
- 債権譲渡通知が送付される前なら取引先への影響を最小限にできる
- 契約内容の精査で違法性が指摘できる可能性がある
- 法テラスの費用立替制度を使えば経済的負担も軽減できる
ファクタリングが返せないときに覚えておくべき3つのポイント
- 放置・踏み倒しは絶対NG — 遅延損害金の増加、債権譲渡通知の送付、刑事告訴のリスクなど、問題が雪だるま式に拡大します
- 弁護士相談は「早ければ早いほど」有利 — 選択肢が多く、解決コストも抑えられます。法テラスの無料相談や、初回無料の弁護士事務所を積極的に活用してください
- 解決後はキャッシュフロー再建まで見据えて行動する — 弁護士対応はゴールではなくスタートです。公的融資制度や経営改善支援を活用し、ファクタリングに依存しない経営基盤を築きましょう
ファクタリングの返済トラブルは、一人で抱え込むほど状況が悪化していきます。しかし、適切な専門家のサポートを受けることで、解決の糸口が見つかるケースは少なくありません。
まずは勇気を出して、弁護士への最初の一歩を踏み出してみてください。
事業と生活を守るための選択肢を検討する上で、法律の専門家のサポートは大きな助けとなり得ます。