個人事業主の資金調達方法10選|安心&お得に資金を確保するコツと注意点【2026年最新】
「売上はあるのに手元の現金が足りない…」
「事業を始めたいけれど、開業資金をどうやって集めればいいのか分からない…」
このようなキャッシュフローの悩みを抱えている個人事業主の方は、とても多いのではないでしょうか。法人に比べると信用力が低く見られがちな個人事業主ですが、実は活用できる資金調達方法は10種類以上あります。
結論からお伝えすると、ご自身の事業ステージや緊急度に合った方法を正しく選ぶことで、安心かつお得に必要な資金を確保することが十分に可能です。
本記事では、以下の情報を詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 個人事業主が使える資金調達方法10選と、それぞれのメリット・デメリット
- 状況別(開業前・運転資金・急ぎ)に最適な方法の選び方
- 融資審査を通過するために今すぐできる5つの準備
- 悪徳業者・資金調達詐欺を見抜くチェックポイント
「自分にはどの方法が合っているのだろう?」と迷っている方は、まず次のセクションの比較一覧表をご覧いただくことで、全体像をつかんでいただけます。ぜひ最後までお読みいただき、安心できる資金調達の第一歩を踏み出していただければ幸いです。
【結論】個人事業主の資金調達方法 比較一覧表
最初に、個人事業主が利用できる主要な資金調達方法を一覧表で比較していきます。「結局どれが自分に合っているのか分からない」という方は、まずこの表で全体像をつかんでいただくのがおすすめです。
| 方法 | 調達可能額の目安 | 金利・手数料の目安 | 入金スピード | 審査難易度 | 返済義務 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本政策金融公庫 | 〜7,200万円 | 年1〜3%台 | 2週間〜1ヶ月 | ★★★☆☆ | あり |
| 制度融資(自治体+信用保証協会) | 〜数千万円 | 年1〜2%台 | 1〜2ヶ月 | ★★★☆☆ | あり |
| 銀行・信用金庫 | 〜数千万円 | 年1〜4%台 | 2週間〜1ヶ月 | ★★★★☆ | あり |
| ビジネスローン(ノンバンク) | 〜1,000万円 | 年3〜18% | 最短即日〜1週間 | ★★☆☆☆ | あり |
| 補助金・助成金 | 数十万〜数千万円 | なし(返済不要) | 数ヶ月(後払い) | ★★★☆☆ | なし |
| ファクタリング | 売掛金の額面まで | 2〜18% | 最短即日 | ★★☆☆☆ | なし※ |
| クラウドファンディング | 目標設定次第 | 手数料10〜20% | 1〜3ヶ月 | ー | 方式による |
| カードローン | 〜800万円 | 年3〜18% | 最短即日 | ★★☆☆☆ | あり |
| 親族・知人からの借入 | 個別相談 | 個別相談 | 即時 | ー | あり(推奨) |
| リースバック・資産売却 | 資産価値次第 | ー | 1〜4週間 | ★☆☆☆☆ | なし |
※ファクタリングは売掛債権の売却(譲渡)であり、借入ではありません。そのため「返済義務」ではなく、手数料を差し引いた金額を受け取る仕組みとなっています。
この表を見ていただくと、金利の低さや調達可能額の大きさでは公的融資(日本政策金融公庫・制度融資)が圧倒的に有利であることが分かります。一方で、「今すぐ現金が欲しい」という緊急性の高いケースでは、ビジネスローンやファクタリングのようなスピード重視の方法が選択肢に入ってきます。
それでは、この一覧表をもとに「自分に最適な方法はどれか」を判断するための3つの基準を解説していきます。
低コスト重視なら「公的融資」がベスト
資金調達のコストをできるだけ抑えたいという方には、日本政策金融公庫や自治体の制度融資が最もおすすめです。日本政策金融公庫の一般貸付であれば、年利1〜3%台という非常に低い金利で融資を受けることができます。制度融資の場合は、自治体による利子補給(金利の一部を自治体が負担してくれる仕組み)が適用されるケースもあり、実質的な負担がさらに軽くなることもあります。
ただし、低コストの融資は審査にある程度の時間がかかります。日本政策金融公庫の場合は申込から融資実行まで2週間〜1ヶ月程度、制度融資の場合は1〜2ヶ月程度を見込んでおく必要がありますので、資金が必要になるタイミングから逆算して早めに準備を進めていきましょう。
スピード重視なら「ビジネスローン」「ファクタリング」
「来週までに資金が必要」「今月の支払いに間に合わない」といった緊急性の高い場面では、ビジネスローンやファクタリングが有力な選択肢になります。ビジネスローンはノンバンク系であれば最短即日〜数日で融資を受けられるものもあり、審査もオンラインで完結できるサービスが増えています。
ファクタリングは、すでに売掛金(取引先からの未回収の代金)をお持ちの方が対象となりますが、借入ではなく売掛債権の売却という仕組みのため、信用情報に影響しないというメリットがあります。経済産業省も中小企業・個人事業主の資金繰り改善手段として売掛債権の活用を推進しており、安心して利用できる仕組みといえるでしょう。
ただし注意点として、スピード重視の方法はコストが高めになる傾向があります。ビジネスローンの金利は年3〜18%、ファクタリングの手数料は2〜18%と幅がありますので、事前に複数社を比較して少しでも有利な条件を選ぶことが大切です。
返済リスクゼロなら「補助金・助成金」「資産活用」
「できれば借金をしたくない」「返済のプレッシャーが怖い」という方には、補助金・助成金が最も理想的な資金調達方法です。補助金・助成金は国や自治体から支給されるもので、原則として返済の必要がありません。中小企業庁が管轄する「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」など、個人事業主が活用できる制度は複数あります。
ただし、補助金には申請期間の制限があり、採択されても実際にお金が振り込まれるのは事業完了後(後払い)というケースがほとんどです。つまり、一度は自己資金で立て替える必要がある点にはご注意ください。
また、不動産や車両などの資産をお持ちの方であれば、リースバックや資産売却による資金確保も有効な手段です。こちらも借入ではないため返済義務が発生せず、キャッシュフローの改善に直結します。
【状況別ガイド】あなたに最適な資金調達方法はどれ?
資金調達方法の全体像は掴めたけれど、「自分の状況だとどれがベストなのか」が分からないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、事業のステージや資金ニーズの緊急度に合わせて、最適な方法をご案内していきます。
個人事業主と一口に言っても、開業前の準備段階の方、開業して間もない方、すでに数年の実績がある方では、利用できる制度や審査の通りやすさが大きく異なります。以下の4つのパターンから、ご自身に最も近い状況を見つけてみてください。
開業前・創業期の方 → 日本政策金融公庫+制度融資が第一候補
これから開業する方や、開業してまだ数ヶ月という創業期の方にとって、最も頼りになるのが日本政策金融公庫の新規開業資金です。日本政策金融公庫は政府系の金融機関であり、民間の銀行では審査が難しい創業者への融資を積極的に行っているのが大きな特徴です。
実は、開業前のほうが開業後よりも融資を受けやすいケースがあるということをご存じでしょうか。開業後に赤字決算が出てしまうと審査のハードルが上がってしまいますが、開業前であれば「事業計画の将来性」と「自己資金の準備状況」が主な審査ポイントとなります。つまり、説得力のある事業計画書と、希望融資額の3割程度の自己資金を用意できていれば、事業実績がなくても融資を受けられる可能性が十分にあるのです。
制度融資(自治体+信用保証協会)も、開業前の方が利用できる創業者向けメニューを用意しているケースが多いため、日本政策金融公庫とあわせて検討されることをおすすめします。
開業1年未満で実績が少ない方 → 小規模事業者向け融資+補助金を組み合わせる
開業して1年未満の方は、まだ確定申告の実績が少ないため、金融機関の審査でやや不利になりがちです。この段階では、日本政策金融公庫の融資に加えて、日本商工会議所が窓口となっている「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」の活用も検討してみてください。マル経融資は商工会議所や商工会の経営指導を受けている小規模事業者が対象で、無担保・無保証人で利用できるのが魅力です。
また、この時期は補助金との組み合わせも効果的です。例えば、設備投資やWebサイトの構築にかかる費用を「小規模事業者持続化補助金」でカバーし、運転資金は融資で確保するという使い分けをすることで、借入額を最小限に抑えることができます。補助金は返済不要ですので、キャッシュフローへの負担を大幅に軽減できるでしょう。
開業1年以上で運転資金が必要な方 → 銀行融資+ファクタリングを比較検討
確定申告を1回以上済ませている方は、選べる資金調達の幅がぐっと広がります。銀行や信用金庫からのプロパー融資も現実的な選択肢になりますし、事業実績があることで審査の通過率も上がっていきます。
運転資金の確保であれば、まずは取引のある金融機関に相談してみるのがよいでしょう。特に信用金庫は地域密着型の経営を行っており、個人事業主にも親身に対応してくれるケースが多いです。
一方で、「売掛金の入金サイクルが長くてキャッシュフローが苦しい」という場合には、ファクタリングの利用も検討に値します。ファクタリングは売掛金を早期に現金化する仕組みですので、融資の審査を待たずに資金を確保できるというメリットがあります。
今すぐ(1週間以内に)資金が必要な方 → ビジネスローン or ファクタリングの即日対応
「来週の仕入れ代金の支払いに間に合わない」「急な設備の故障で修理費用が必要」といった緊急のケースでは、スピードを最優先で考える必要があります。この場合の選択肢は、大きく分けてビジネスローンとファクタリングの2つです。
ビジネスローンはノンバンク系であれば最短即日で融資が実行されるサービスもあります。ただし、金利は年3〜18%と公的融資に比べて高めですので、あくまで「短期間のつなぎ資金」として利用し、できるだけ早く返済する計画を立てることが重要です。
売掛金をお持ちの方であれば、ファクタリングのほうが適しているケースもあります。ファクタリングは借入ではないため信用情報に影響せず、審査のスピードも速い傾向にあります。オンライン完結型のサービスを利用すれば、申込から最短2時間〜即日で入金されるものもあります。
いずれの方法も、焦って契約する前に必ず複数社の条件を比較してください。緊急時こそ冷静な判断が求められますし、悪徳業者に狙われやすいタイミングでもあります。後述する「悪徳業者の見分け方」のセクションも、ぜひあわせてご確認ください。
個人事業主が利用できる公的融資制度を詳しく解説
個人事業主の資金調達において、最もコストパフォーマンスに優れているのが公的融資制度です。民間の金融機関に比べて金利が低く、創業間もない方でも利用しやすい制度が整っています。ここでは、個人事業主が優先的に検討すべき3つの公的融資を詳しく解説していきます。
公的融資は「審査が厳しそう」「手続きが面倒そう」というイメージを持たれがちですが、必要書類をしっかり準備すれば個人事業主でも十分に利用できます。特に日本政策金融公庫は個人事業主への融資実績が豊富で、手厚いサポート体制が整っていますので、まずはこちらから検討されることをおすすめします。
日本政策金融公庫の融資(新規開業資金・一般貸付)
日本政策金融公庫は、国が100%出資している政府系の金融機関です。民間の銀行では融資が難しい創業者や小規模事業者に対して積極的に融資を行っており、個人事業主にとって最も身近で頼れる資金調達先のひとつといえるでしょう。
主な融資制度としては、これから開業する方や開業後おおむね7年以内の方を対象とした「新規開業資金」と、事業を営むすべての方が対象の「一般貸付」があります。新規開業資金は融資限度額が7,200万円(うち運転資金4,800万円)と設定されており、金利も年1〜3%台と非常に低水準です。
申込の流れとしては、まず最寄りの支店に相談の電話を入れるか、公式サイトからインターネット申込を行います。その後、面談(事業計画のヒアリング)→ 審査 → 融資実行という流れで進んでいきます。面談では、事業計画書の内容、自己資金の状況、事業の将来性などが確認されます。
注意点として、日本政策金融公庫の審査では「自己資金」が重視される傾向があります。一般的に、希望融資額の3割程度の自己資金があると審査が通りやすいとされていますので、事前にしっかり準備しておきましょう。
信用保証協会の保証付き融資(制度融資)
制度融資とは、自治体(都道府県・市区町村)、信用保証協会、金融機関の3者が連携して行う融資制度のことです。仕組みとしては、信用保証協会が個人事業主の「保証人の代わり」になることで、金融機関が融資を出しやすくするというものです。
信用保証協会の保証付き融資は中小企業・個人事業主の資金調達を支える重要な仕組みとして位置づけられています。制度融資の最大のメリットは、自治体による利子補給(金利の一部を自治体が負担してくれる仕組み)があるケースが多く、実質的な金利負担がかなり低くなる可能性があるという点です。
例えば、東京都の制度融資では、創業者向けの融資メニューとして「創業融資」が用意されており、一定期間の利子補助が受けられます。お住まいの自治体によって制度内容が異なりますので、まずは自治体の産業振興課や中小企業支援窓口に問い合わせてみることをおすすめします。
ただし、制度融資は関係機関が多いぶん、申込から融資実行までに1〜2ヶ月程度かかるケースが一般的です。急ぎの資金ニーズには向きませんので、余裕を持ったスケジュールで準備を進めていきましょう。
マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
マル経融資は、日本商工会議所や商工会の経営指導を受けている小規模事業者が対象の融資制度です。正式名称は「小規模事業者経営改善資金」といい、日本政策金融公庫が資金を貸し付ける形で運営されています。
マル経融資の大きな特徴は、無担保・無保証人で利用できるという点です。融資限度額は2,000万円で、金利も低水準に設定されています。ただし、利用するためには商工会議所や商工会の経営指導を原則6ヶ月以上受けていることが条件となります。
「6ヶ月も待てない」と感じるかもしれませんが、商工会議所の経営指導は資金調達だけでなく、事業計画の見直し、税務相談、販路開拓のアドバイスなど、幅広い経営サポートを無料で受けられる貴重な機会です。将来的な資金調達も見据えて、早めに商工会議所との関係を作っておくことは、長い目で見て大きなメリットになるでしょう。
民間の融資・ローンで資金調達する方法
公的融資だけでなく、民間の金融機関やノンバンクが提供する融資サービスも、個人事業主にとって重要な資金調達手段です。公的融資に比べると金利はやや高めになりますが、審査のスピードが速い、必要書類が少ないなどのメリットがあります。
ここでは、民間の融資・ローンの中から個人事業主が利用しやすい3つの方法を解説していきます。それぞれの特徴をしっかり把握した上で、ご自身のニーズに合った方法を選んでいきましょう。
銀行・信用金庫のプロパー融資
プロパー融資とは、信用保証協会の保証を付けずに、銀行や信用金庫が独自の判断で行う融資のことです。保証料がかからないため、トータルのコストを抑えられるのが大きなメリットです。個人事業主であっても確定申告の実績や安定した売上があれば、銀行融資の対象になります。
ただし正直に申し上げると、個人事業主がプロパー融資を受けるハードルは決して低くはありません。銀行は融資の焦げ付きリスクを自社で負うことになるため、審査基準が厳しめになる傾向があります。特にメガバンク(大手都市銀行)は法人向けの融資が中心で、個人事業主への融資に消極的なケースも少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、地域密着型の信用金庫への相談です。信用金庫は地域の中小企業や個人事業主の支援を使命としているため、メガバンクに比べて親身に対応してくれることが多いです。日頃から事業用口座として利用していれば、取引実績が信用につながり、融資の相談もスムーズに進むでしょう。
銀行・信用金庫からの融資を成功させるためには、事業計画書、確定申告書(直近2〜3期分)、資金使途の明確な説明が不可欠です。「何に使うのか」「どうやって返済するのか」を具体的な数字で示せるように準備しておくことが大切です。
ビジネスローン(ノンバンク系)のメリットと注意点
ビジネスローンとは、事業資金に特化した融資サービスのことで、消費者金融やクレジットカード会社などのノンバンク(銀行以外の金融事業者)が提供しています。金融庁に登録された正規の貸金業者が運営するサービスであれば、安心して利用していただけます。
ビジネスローンの最大のメリットは、審査スピードの速さです。オンラインで申込が完結するサービスも多く、最短即日〜数日で融資が実行されるケースもあります。また、銀行融資に比べて必要書類が少なく、手続きも簡便なので、忙しい個人事業主にとっては使い勝手のよい選択肢です。
一方で注意点もあります。ビジネスローンの金利は年3〜18%と幅が広く、公的融資(年1〜3%台)に比べるとコストが高くなります。例えば、300万円を年利15%で1年間借りた場合、利息だけで約45万円になります。長期間の借入には向かないため、「一時的なつなぎ資金」として短期間で返済することを前提に利用されることをおすすめします。
また、利用する際には必ず貸金業者の登録番号を確認してください。金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で正規の業者かどうかを調べることができます。登録のない業者は闇金融(違法業者)の可能性がありますので、絶対に利用しないでください。
カードローンは事業資金に使える?利用条件と注意点
個人向けのカードローンを事業資金として使えるのかどうかは、商品によって異なります。一般的な消費者向けカードローンの多くは、利用規約で「事業性資金への使用禁止」と定めています。事業資金に使える旨が明記されていないカードローンを事業目的で利用すると、規約違反となり一括返済を求められる可能性がありますので、十分にご注意ください。
ただし、一部の金融機関やカード会社は「個人事業主向けカードローン」を提供しています。例えば、大手消費者金融の中にも事業資金への利用を認めた商品がありますし、クレジットカード会社が発行する法人カード(ビジネスカード)に付帯するキャッシング機能も、事業資金としての利用が認められているケースがあります。
日本貸金業協会では、貸金業者が提供する各種ローン商品に関する情報を公開しています。カードローンの利用を検討される場合は、事前に利用規約をしっかり確認し、事業資金への利用が明確に許可されている商品を選ぶようにしてください。
カードローンのメリットは、一度契約すれば限度額の範囲内で繰り返し借入・返済ができる点です。急な出費が頻繁に発生する業種の方にとっては、いざというときの「安全弁」として心強い存在になるでしょう。ただし、便利さゆえに借りすぎてしまうリスクもありますので、利用は必要最小限にとどめ、返済計画をしっかり立てた上でご利用ください。
返済不要!個人事業主が活用できる補助金・助成金
「できれば借金はしたくない」
「返済のプレッシャーなく事業に集中したい」
そのようなお気持ちの個人事業主の方にぜひ知っていただきたいのが、補助金と助成金です。これらは国や自治体から支給されるもので、原則として返済の必要がありません。
ただし、補助金・助成金は「もらえるお金」というイメージが先行しがちですが、実際にはいくつかの重要なルールがあります。まず、多くの補助金は「後払い方式」です。つまり、先に自己資金で事業を実施し、完了報告の後に補助金が支給されるという仕組みになっています。
また、申請書類の作成に手間がかかり、採択率も100%ではないため、「申請すれば必ずもらえる」というものではありません。
こうした注意点を踏まえた上で、個人事業主が活用しやすい補助金・助成金を3つご紹介していきます。
小規模事業者持続化補助金
中小企業庁が管轄する「小規模事業者持続化補助金」は、個人事業主が最も活用しやすい補助金のひとつです。販路開拓や業務効率化のための取り組みに対して、最大50万円〜200万円(申請枠によって異なる)が補助されます。
例えば、ホームページの新規作成、チラシ・パンフレットの印刷、展示会への出展費用、店舗の改装費用などが対象経費に含まれます。補助率は経費の2/3(一部の枠では3/4)となっており、自己負担を大幅に軽減できるのが魅力です。
申請には事業計画書の作成が必要で、地域の商工会議所や商工会のサポートを受けながら準備を進めます。採択率は公募回によって異なりますが、しっかりとした事業計画を作成すれば十分にチャンスがあります。
なお、公募のスケジュールは年度によって変わりますので、中小企業庁の公式サイトや商工会議所のWebサイトで最新情報をこまめに確認するようにしてください。
IT導入補助金・ものづくり補助金
IT導入補助金は、会計ソフト、顧客管理システム、ECサイト構築ツールなど、ITツールの導入費用を補助する制度です。経済産業省が推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)施策の一環として実施されており、個人事業主も対象となっています。
補助額はツールの種類や導入規模によって異なりますが、数十万円〜最大数百万円の補助を受けられる可能性があります。特に、これまで手作業で行っていた経理業務や顧客管理をIT化したいと考えている個人事業主の方にとっては、導入コストを大幅に抑えられる絶好の機会です。
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、革新的なサービスの開発や試作品の製作、生産プロセスの改善などに対して支給される補助金です。補助上限額が高い(最大1,000万円〜)のが特徴ですが、そのぶん申請のハードルも高く、具体的で説得力のある事業計画が求められます。
各自治体独自の助成金の探し方
国の補助金以外にも、各自治体が独自に実施している助成金や補助金が数多くあります。例えば、創業支援の助成金、家賃補助、設備投資の助成、デジタル化支援の助成など、自治体によってさまざまな制度が用意されています。
これらの情報を探す際に便利なのが、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営するJ-Net21というWebサイトです。J-Net21では、都道府県や業種、目的(創業・設備投資・販路開拓など)から検索できる「支援情報ヘッドライン」が用意されており、ご自身に該当する制度を効率よく見つけることができます。
また、お住まいの自治体の公式Webサイトや、地域の商工会議所の窓口でも最新の助成金情報を入手できます。補助金や助成金は公募期間が限られていることが多いため、定期的に情報をチェックする習慣をつけておくと、チャンスを逃さずに済むでしょう。
融資以外の資金調達手段(ファクタリング・クラウドファンディング・資産活用)
ここまで融資や補助金について解説してきましたが、個人事業主の資金調達手段はそれだけではありません。「融資の審査に通るか不安」「これ以上借入を増やしたくない」という方には、融資以外の方法も検討していただきたいと思います。
ここでは、近年利用者が増えているファクタリング、クラウドファンディング、そして保有資産を活用した資金調達方法について解説していきます。
ファクタリング─売掛金を最短即日で現金化
ファクタリングとは、取引先に対する売掛金(未回収の代金)をファクタリング会社に売却し、早期に現金化するサービスのことです。非常に重要なポイントとして、ファクタリングは「借入」ではなく「売掛債権の売却(譲渡)」であるという点を理解しておいてください。つまり、利用しても負債が増えることはなく、信用情報にも影響しません。
経済産業省は、中小企業や個人事業主の資金繰り改善の手段として売掛債権の活用を推進しています。民法上も債権譲渡は認められた取引であり、正規のファクタリング会社を利用すれば、法的に問題のない資金調達方法です。
ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の間だけで取引が行われるため、売掛先(取引先)に知られることなく資金調達ができます。ただし、手数料は5〜18%程度とやや高めです。一方、3社間ファクタリングは売掛先の承諾を得て行う取引で、手数料は2〜9%程度と低めに設定されています。
個人事業主の方がファクタリングを利用する際の注意点としては、手数料率の確認、償還請求権の有無の確認が挙げられます。「償還請求権あり」の契約は、売掛先が支払えなかった場合に利用者が買い戻す義務を負うため、実質的に貸付と同じ構造になります。金融庁も、償還請求権ありのファクタリングは貸金業に該当する可能性があると注意喚起を行っていますので、契約内容をしっかり確認するようにしてください。
クラウドファンディング─資金調達とPRを同時に実現
クラウドファンディングは、インターネット上のプラットフォームを通じて、不特定多数の人から資金を集める仕組みです。新商品の開発やサービスの立ち上げなど、「応援したい」と思ってもらえるようなプロジェクトであれば、融資とは異なるルートで資金を集めることができます。
クラウドファンディングの大きなメリットは、資金調達とPR(宣伝活動)を同時に実現できる点です。プロジェクトの公開自体がマーケティングとなり、支援者がそのまま最初の顧客やファンになってくれることもあります。特に、飲食店の開業、オリジナル商品の製作、地域活性化プロジェクトなどは支援を集めやすいジャンルといえるでしょう。
一方で、クラウドファンディングには以下のような注意点もあります。まず、目標金額に達しなかった場合は資金を受け取れない方式(All-or-Nothing方式)が主流であること。次に、プラットフォームの手数料(集めた資金の10〜20%程度)がかかること。そして、プロジェクトページの作成やリターン品の準備・発送など、それなりの手間がかかることです。
クラウドファンディングは「確実に資金が集まる」保証がないため、メインの資金調達手段としてではなく、他の方法と組み合わせて活用するのが現実的な使い方です。
リースバック・資産売却─保有資産を活用する方法
不動産や車両、機械設備などの資産をお持ちの個人事業主の方であれば、リースバックや資産売却による資金確保も有力な選択肢です。
リースバックとは、所有している資産(主に不動産)を売却し、その後は買い主からリース(賃貸)という形で使い続ける仕組みです。資産を売却することでまとまった現金を手にしつつ、事業に必要な資産は引き続き使い続けることができるのがメリットです。借入ではないため返済義務は発生しませんが、リース料(家賃)が継続的にかかる点は考慮しておく必要があります。
また、事業に使っていない遊休資産があれば、売却して資金に充てることも有効です。例えば、使っていない事業用車両、稼働していない機械、余剰在庫などを現金化することで、新たな借入をせずに資金を確保できます。
資産の売却は信用情報への影響もなく、審査も不要なため、融資が難しい状況の方にとっても実行可能な方法です。ただし、売却価格が市場価格を下回るケースもありますので、複数の業者に査定を依頼して適正な価格で取引することをおすすめします。
融資審査を通過するための5つの準備
個人事業主が融資を申し込む際、「審査に通るかどうか不安」という声は非常に多くいただきます。確かに、法人に比べると個人事業主の融資審査はハードルが高いといわれることがありますが、事前の準備をしっかり行えば、審査通過の可能性を大きく高めることができます。
ここでは、金融機関が審査で特に重視する5つのポイントと、それぞれの具体的な準備方法を解説していきます。これらの準備は日本政策金融公庫、制度融資、銀行融資のいずれにも共通する内容ですので、どの融資を検討されている方にもお役立ていただけます。
説得力のある事業計画書を作成する
融資審査において最も重視されるのが事業計画書です。金融機関は「この事業にお金を貸しても、きちんと返済してもらえるか」を判断するため、事業の将来性や収益性を事業計画書から読み取ろうとします。
日本政策金融公庫の公式サイトでは、創業計画書のテンプレートがダウンロードできるようになっています。初めて事業計画書を作成する方は、まずこのテンプレートをベースにして、以下のポイントを意識して記載していくとよいでしょう。
事業計画書で特に重要な項目は、「創業の動機」「事業の概要・強み」「ターゲット顧客」「売上・経費の見通し」「資金使途」「返済計画」の6つです。特に「売上の見通し」は、根拠のある数字を示すことが大切です。例えば「月の来客数 × 客単価 = 月商」のように、計算根拠を明確にしておくと、金融機関の担当者にも納得感のある計画として評価されやすくなります。
「事業計画書の作り方が分からない」という方は、商工会議所の無料相談や、後述する認定支援機関に相談されることをおすすめします。専門家のサポートを受けながら作成することで、質の高い事業計画書に仕上げることができます。
自己資金は希望融資額の3割を目安に用意する
自己資金の準備は、融資審査において非常に重要な評価ポイントです。金融機関は「自分でどれだけのリスクを負っているか」を見ることで、事業への本気度を判断します。一般的に、希望融資額の3割程度の自己資金を用意しておくことが望ましいとされています。
例えば、500万円の融資を希望する場合は、150万円程度の自己資金があると審査で有利になります。ここで注意していただきたいのは、自己資金は「見せ金」ではなく、コツコツと貯めた実績が確認できるものである必要があるということです。金融機関は預金通帳の入出金履歴を確認し、急に大きなお金が入金されていないかどうかもチェックします。
自己資金の確保が難しい場合でも、すぐに諦める必要はありません。自治体の制度融資の中には自己資金要件がないものもありますし、日本政策金融公庫の新規開業資金も「自己資金なしでは絶対に借りられない」というわけではありません。ただし、自己資金が多いほど審査が有利になることは間違いありませんので、日頃から計画的に貯蓄しておくことが大切です。
確定申告書・決算書を整備する
すでに事業を営んでいる個人事業主の場合、融資審査では直近2〜3期分の確定申告書の提出を求められます。確定申告書は、事業の収益性や財務状況を金融機関が把握するための最も重要な書類のひとつです。
国税庁の公式サイトでは、確定申告に関する詳しい手続きやスケジュールが公開されています。確定申告をまだ行っていない方は、まず申告を済ませることが融資を受けるための大前提となります。
ここで気をつけていただきたいのが、「節税のために経費を水増ししすぎていないか」という点です。もちろん正当な経費を計上することは問題ありませんが、過度な節税によって所得(利益)が極端に低くなっていると、「返済能力が低い」と金融機関に判断されてしまう可能性があります。融資を見据えている場合は、適正な利益を残した申告を心がけることも重要です。
信用情報をセルフチェックする
融資審査では、金融機関が信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)に照会を行い、過去の借入・返済履歴を確認します。クレジットカードやローンの返済遅延、携帯電話の割賦払いの未納などがあると、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
意外と見落としがちなのですが、信用情報は本人であればセルフチェック(情報開示)が可能です。CIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関)では、インターネットから手数料500円で情報開示の手続きができます。融資を申し込む前に、ご自身の信用情報に問題がないかどうかを確認しておくことをおすすめします。
もし信用情報に延滞等の記録がある場合でも、内容によっては融資を受けられるケースもあります。例えば、過去の延滞がすでに解消されており、その後の返済実績が良好であれば、金融機関が柔軟に判断してくれることもあります。不安がある場合は、日本政策金融公庫の窓口で正直に相談してみるのもひとつの方法です。
開業届の提出と事業実態の証明を万全にする
個人事業主として融資を受けるためには、国税庁に「個人事業の開業届出書」を提出していることが基本条件となります。開業届を出していないと、金融機関に「事業を営んでいる」という証明ができず、そもそも融資の土俵に立てない可能性があります。
開業届は、事業開始日から1ヶ月以内に最寄りの税務署に提出することが法律で定められています。「まだ出していない」という方は、できるだけ早く提出手続きを済ませてください。開業届の提出自体は無料で、手続きも非常にシンプルです。
また、開業届だけでなく、事業の実態を示す書類を整えておくことも重要です。具体的には、取引先との契約書や発注書、事業で使用している事務所やスペースの賃貸契約書、名刺やホームページなどが事業実態の証明として有効です。「実際にビジネスを行っている」ということを客観的に示せる書類を、できるだけ多く準備しておきましょう。
個人事業主が資金調達で失敗しないための注意点
ここまで、さまざまな資金調達方法をご紹介してきましたが、どの方法を選ぶにしても注意すべきポイントがあります。特に個人事業主は法人に比べて情報が少なく、悪徳業者のターゲットになりやすいという現実があります。
このセクションでは、資金調達で失敗しないために知っておいていただきたい3つの重要な注意点を解説していきます。ご自身の大切な事業と資産を守るために、ぜひしっかりとお目通しください。
事業資金の私的流用は絶対にNG ── 最悪のケースとは
融資やビジネスローンで調達した資金を、事業以外の目的(生活費、趣味、個人的な投資など)に使ってしまうことを「私的流用」といいます。これは金融機関との契約違反にあたり、最悪の場合、融資金の一括返済を求められたり、今後の融資が一切受けられなくなったりする重大なリスクがあります。
金融庁も融資金の目的外使用に対して厳しい姿勢をとっており、特に公的融資の場合は不正使用が発覚すると刑事罰の対象になる可能性もあります。個人事業主は事業口座とプライベートの口座を明確に分けていない方も多いですが、資金調達を行う際には必ず事業専用の口座を用意し、資金の使途を明確に管理するようにしてください。
資金繰りが厳しく、事業資金と生活費の区別が曖昧になってしまいそうな場合は、まず生活費の確保を先に行い、その上で事業に必要な金額だけを借り入れるという順序で考えることが大切です。
複数の借入先を持つリスクと多重債務の防止
資金繰りが苦しくなると、「A社のビジネスローンで足りなかったから、B社にも申し込もう」「C社のカードローンでもう少し借りよう」と、複数の金融機関から借入を重ねてしまうケースがあります。いわゆる「多重債務」の状態です。
複数の借入先を持つこと自体が直ちに問題になるわけではありませんが、借入金の総額と月々の返済額がキャッシュフローを圧迫し、返済が滞ると深刻な状況に陥ります。一度延滞が発生すると信用情報に記録が残り、今後の融資が受けにくくなるという悪循環に入ってしまいます。
貸金業者からの借入については、年収の3分の1を超える貸付が原則として禁止されています。ただし、事業性資金については総量規制の例外となるケースもありますが、だからといって返済能力を超えた借入は絶対に避けるべきです。
借入を検討する際は、必ず「月々の返済額がキャッシュフローの何%を占めるか」を計算し、事業の収益で無理なく返済できる範囲に収めるようにしてください。
悪徳業者・資金調達詐欺の手口と見分け方
残念ながら、資金繰りに困っている個人事業主を狙った悪徳業者や詐欺的なサービスが存在しているのが現状です。警察庁や消費者庁も繰り返し注意喚起を行っていますが、手口が巧妙化しているため、事前に知識を持っておくことが最大の防御になります。
以下のような特徴がある業者は、悪徳業者の可能性が高いため、絶対に取引しないでください。
まず、「審査なし」「誰でもOK」「ブラックでも大丈夫」などと過度に甘い条件を謳っている業者は要注意です。正規の金融機関やファクタリング会社では、必ず何らかの審査やヒアリングを行います。審査をしないということは、そのぶん法外な金利や手数料で回収しようとしている可能性があります。
次に、契約前に高額な手数料(コンサルティング料、保証料、事務手数料など)を請求してくる業者も危険です。正規のサービスでは、契約前に費用が発生することは基本的にありません。
また、「給与ファクタリング」と呼ばれるサービスは、個人の給与を債権として買い取ると称するものですが、金融庁は「給与ファクタリングは実質的に貸付に該当し、貸金業登録のない業者が行う場合は違法」という見解を示しています。絶対に利用しないでください。
業者の信頼性を確認するためには、貸金業者であれば金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で登録の有無を確認できます。ファクタリング会社であれば、法人登記情報、所在地の実在、代表者名の公開などを確認し、不審な点がないかをチェックしてください。少しでも不安を感じたら、契約前に消費者ホットライン(188)に相談することをおすすめします。
【独自解説】審査に落ちたときのリカバリー戦略
融資の審査に申し込んでみたものの、残念ながら否決されてしまった──そのような経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。審査に落ちると大きなショックを受けてしまいがちですが、否決は「二度と融資を受けられない」という意味ではありません。
ここでは、審査に落ちた場合に取るべき具体的なアクションを3つご紹介します。適切にリカバリーすれば、再挑戦で融資を獲得できる可能性は十分にありますので、諦めずに次の一手を考えていきましょう。
否決理由を確認し、改善して再申請する方法
融資が否決された場合、まず行うべきなのは「なぜ否決されたのか」の理由を確認することです。多くの金融機関では、否決理由を直接的に教えてくれないケースもありますが、日本政策金融公庫の場合は担当者に理由を聞けば、ある程度の説明をしてもらえることがあります。
否決のよくある理由としては、「自己資金が不足している」「事業計画の売上見通しに根拠が弱い」「信用情報に問題がある」「事業実績が不十分」などが挙げられます。理由が分かれば、その課題を改善した上で再申請することが可能です。
例えば、自己資金不足が原因であれば、3〜6ヶ月かけて自己資金を貯めてから再申請する方法があります。事業計画の内容が不十分であれば、商工会議所や認定支援機関のサポートを受けて、より具体的で説得力のある計画書に仕上げ直すことができます。日本政策金融公庫の場合、一般的に前回の申込から6ヶ月以上経過していれば再申請が可能とされています。
審査基準が異なる別の調達手段に切り替える
ひとつの金融機関で否決されたからといって、すべての融資が受けられないわけではありません。金融機関によって審査基準は異なりますので、別の選択肢を検討してみることをおすすめします。
例えば、日本政策金融公庫で否決された場合でも、自治体の制度融資であれば通る可能性があります。逆もまた同様です。また、融資という形にこだわらなければ、ファクタリング(売掛金をお持ちの場合)や補助金・助成金といった、まったく異なる審査基準の資金調達方法を選ぶこともできます。
特にファクタリングは、利用者本人の信用情報ではなく「売掛先(取引先)の信用力」が審査の主な判断基準となります。そのため、本人の信用情報に問題があって融資を受けられなかった方でも、優良な取引先への売掛金があれば利用できる可能性が高いのです。
専門家(税理士・認定支援機関)に相談するメリット
資金調達の壁に直面したとき、ひとりで悩まずに専門家の力を借りることをおすすめします。特に、中小企業庁が認定する「認定経営革新等支援機関」に相談すると、資金調達の成功率が大きく向上する可能性があります。
認定支援機関とは、税理士、公認会計士、中小企業診断士、金融機関などの中から、中小企業支援に関する専門知識や実務経験が一定レベル以上であると国が認定した機関のことです。事業計画書の作成支援、金融機関への橋渡し、経営改善のアドバイスなど、幅広いサポートを受けることができます。
また、認定支援機関のサポートを受けて融資を申し込むと、金融機関側からの信頼度が上がるというメリットもあります。「専門家のお墨付きがある事業計画」は、金融機関にとっても安心材料になるためです。認定支援機関の検索は、中小企業庁の公式サイトから行うことができますので、お近くの機関を探してみてください。
日頃からお付き合いのある税理士がいる場合は、まず税理士に相談してみるのもよいでしょう。税理士は確定申告の内容を把握していますので、ご自身の財務状況に合った資金調達のアドバイスをもらうことができます。
よくある質問
個人事業主の資金調達に関して、よくいただくご質問にお答えしていきます。気になる項目がありましたら、ぜひ参考にしてください。
Q1. 個人事業主でも銀行から融資を受けられますか?
A: はい、個人事業主でも銀行融資を受けることは可能です。
ただし、法人に比べると審査のハードルはやや高くなります。銀行が融資審査で重視するのは、事業の収益性、返済能力、資金使途の妥当性などです。確定申告書(直近2〜3期分)で安定した売上と利益を示せること、明確な資金使途と返済計画を提示できることが、審査通過のポイントとなります。特に、信用金庫や地方銀行は個人事業主への融資に比較的積極的ですので、まずはメインバンクとして利用している金融機関に相談してみるのがよいでしょう。
Q2. 赤字でも資金調達は可能ですか?
A: 赤字だからといって、すべての資金調達が不可能というわけではありません。
確かに、赤字決算は融資審査において不利な要素です。しかし、赤字の原因が「設備投資による一時的な支出増加」や「創業初期の先行投資」であり、今後の売上回復が見込める根拠を示せれば、融資を受けられるケースもあります。日本政策金融公庫は、創業初期の赤字に対して比較的理解のある金融機関として知られています。また、融資以外の方法(ファクタリング、補助金、資産売却など)であれば、赤字の影響を受けにくい選択肢もあります。
Q3. 開業前(事業実績なし)でも融資を受けられますか?
A: はい、開業前でも融資を受けることは可能です。むしろ、開業前のほうが有利な場合もあります。
日本政策金融公庫の「新規開業資金」は、これから開業する方を対象にした融資制度です。事業実績がなくても、説得力のある事業計画書と一定の自己資金があれば、審査を通過できる可能性があります。開業後に赤字決算が出てしまうと審査が厳しくなるケースがあるため、資金ニーズが見込まれる場合は開業前のうちに申し込むことも戦略のひとつです。
Q4. ファクタリングと融資の違いは何ですか?
A: 最大の違いは「借入かどうか」という点です。
融資は金融機関からお金を借りる行為であり、返済義務が発生します。一方、ファクタリングは売掛金(取引先への未回収代金)をファクタリング会社に売却して現金化する仕組みであり、借入ではありません。経済産業省も、売掛債権の活用を中小企業の資金繰り改善手段として推進しています。ファクタリングは信用情報に影響しない、負債が増えないというメリットがある反面、手数料が融資の金利よりも高くなる傾向があります。
Q5. 資金調達の利息や手数料は経費にできますか?
A: はい、事業のために支払った利息や手数料は、原則として経費(必要経費)に計上できます。
国税庁の見解では、事業所得を得るために必要な支出として認められる借入金の利息は、「利子割引料」として必要経費に算入できます。ビジネスローンの利息、ファクタリングの手数料、制度融資の保証料なども同様です。ただし、事業資金と個人的な借入を混同しないよう、経費として計上する際は事業性が明確なものに限定してください。確定申告の際に不安がある場合は、税理士に相談されることをおすすめします。
Q6. 確定申告をしていなくても資金調達できますか?
A: 確定申告をしていない場合、融資を受けることは非常に難しくなります。
ほとんどの金融機関は、融資審査の際に確定申告書の提出を求めます。確定申告を行っていないということは、事業の収支を公的に証明できないということになりますので、金融機関としては「この人にお金を貸しても大丈夫か」の判断材料がないことになります。もし過去に無申告の期間がある場合は、まず税務署に相談して期限後申告を行うところから始めてください。ファクタリングであれば確定申告書が不要なケースもありますが、本人確認書類や請求書などは必要です。
Q7. 個人事業主が資金調達の相談をできる窓口はどこですか?
A: 無料で相談できる公的機関が複数あります。
まず、日本政策金融公庫の各支店では、融資に関する無料相談を受け付けています。次に、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営する「よろず支援拠点」は、全国47都道府県に設置されており、資金調達に限らず経営に関するあらゆる相談に無料で対応してくれます。また、地域の商工会議所や商工会でも、経営相談員が融資の申込サポートや事業計画書の作成支援を行っています。「どこに相談すればいいか分からない」という方は、まずお近くのよろず支援拠点に電話してみることをおすすめします。
まとめ:個人事業主が安心・お得に資金調達するためのロードマップ
ここまで、個人事業主が利用できる10種類の資金調達方法と、審査のコツ、注意点について詳しく解説してきました。最後に、状況別のおすすめと成功のための3つのポイントを整理しておきます。
今すぐ資金が必要な方 →
- ビジネスローン(最短即日〜数日、年3〜18%)
- ファクタリング(売掛金があれば最短即日、手数料2〜18%)
低コストで安心して借りたい方 →
- 日本政策金融公庫(年1〜3%台、2週間〜1ヶ月)
- 制度融資(年1〜2%台、1〜2ヶ月、利子補給あり)
返済したくない方 →
- 補助金・助成金(返済不要、ただし後払い方式が多い)
- 資産売却・リースバック(借入ではないため返済義務なし)
個人事業主が資金調達を成功させるための3つのポイント
- 自分の事業ステージに合った方法を選ぶ
開業前なら日本政策金融公庫、運転資金ならファクタリングや銀行融資など、状況に応じてベストな方法は変わります。本記事の「状況別ガイド」を参考に、最適な選択肢を見つけてください。 - 事業計画書と必要書類を早めに準備する
融資審査を通過するためには、事前準備がすべてです。事業計画書、確定申告書、開業届、信用情報の確認など、できることは今日から始めましょう。 - 1つの方法に固執せず、組み合わせて活用する
運転資金は融資で確保し、設備投資は補助金を活用するなど、複数の方法を賢く組み合わせることで、コストを抑えながら必要な資金を確保できます。
資金調達は個人事業主にとって、事業の成長と安定を左右する非常に重要なテーマです。本記事でご紹介した情報が、あなたの事業の発展に少しでもお役に立てれば幸いです。まずは、ご自身の状況に最も合った方法から、一歩を踏み出してみてくださいね。