【2026年最新】法人の資金調達方法10選|安心&低コストで調達するための完全ガイド
「銀行融資の審査に時間がかかりすぎる…」
「売上はあるのにキャッシュが回らない…」
このような資金繰りの悩みを抱えている法人経営者の方は多いのではないでしょうか。結論からお伝えすると、法人が利用できる資金調達方法は大きく10種類あり、自社の状況に合った方法を選ぶことで、安心かつコストを抑えた資金調達が可能です。
ただし、方法ごとに調達スピード・コスト・審査難易度が大きく異なるため、「とりあえず銀行に相談する」だけでは最適解にたどり着けないケースも少なくありません。さらに、近年はファクタリングやクラウドファンディングなど新しい選択肢も増えている一方で、悪徳業者によるトラブルも報告されています。
本記事では、以下の情報を詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 法人が使える資金調達方法10種類の特徴・メリット・デメリット比較
- 目的・スピード・コスト別のおすすめ資金調達方法
- 審査に通りやすくするための実践的なポイント
- 悪徳業者に騙されないための注意点と失敗パターン
【結論】法人の資金調達方法10選|比較一覧表
まずは結論として、法人が利用できる主な資金調達方法10種類を一覧表でご紹介していきます。「どの方法が自社に合うのか分からない」という方は、この比較表を起点に読み進めていただければと思います。
| 方法 | 分類 | 調達スピード | 調達可能額の目安 | コスト目安 | 審査難易度 | 返済義務 | おすすめ場面 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 銀行融資(プロパー) | デット | 2週間~1ヶ月 | 数百万~数億円 | 年1%~3%程度 | ★★★★☆ | あり | 安定した実績がある法人 |
| 信用保証協会付き融資 | デット | 2週間~1ヶ月 | 数百万~数千万円 | 年1%~3%+保証料 | ★★★☆☆ | あり | 創業期~中小企業 |
| 日本政策金融公庫 | デット | 2週間~1ヶ月 | 数百万~数千万円 | 年1%~2.5%程度 | ★★★☆☆ | あり | 創業期・小規模法人 |
| 制度融資 | デット | 1ヶ月~2ヶ月 | 数百万~数千万円 | 年1%~2%程度 | ★★★☆☆ | あり | 地域密着の中小企業 |
| ビジネスローン | デット | 最短即日~1週間 | 数十万~1,000万円 | 年5%~18%程度 | ★★☆☆☆ | あり | 緊急の資金ニーズ |
| ファクタリング | アセット | 最短即日~3日 | 数十万~数億円 | 手数料1%~20% | ★★☆☆☆ | なし | 売掛金の早期資金化 |
| 補助金・助成金 | その他 | 数ヶ月(後払い) | 数十万~数千万円 | 無料(申請コスト除く) | ★★★★☆ | なし | 設備投資・新規事業 |
| エクイティ(出資・増資) | エクイティ | 数ヶ月 | 数千万~数十億円 | 持株比率の希薄化 | ★★★★★ | なし | 急成長スタートアップ |
| 社債・私募債 | デット | 1ヶ月~3ヶ月 | 数千万~数億円 | 年1%~5%程度 | ★★★★☆ | あり | 中堅~大企業 |
| クラウドファンディング | その他 | 1ヶ月~3ヶ月 | 数十万~数千万円 | プラットフォーム手数料 | ★★☆☆☆ | 種類による | 新商品・PR効果も狙う |
比較表の見方と3つの分類(デット・エクイティ・アセット)
経済産業省の中小企業支援施策でも紹介されているように、法人の資金調達方法は大きく3つのカテゴリに分類されます。この分類を理解しておくと、自社に合った方法を選びやすくなりますので、まず基本を押さえておきましょう。
1つ目はデットファイナンス(負債を増やす方法)です。銀行融資やビジネスローン、社債など、「お金を借りて返す」タイプの資金調達がこれに該当します。返済義務が発生する代わりに、経営権を手放す必要がないという大きなメリットがあります。金利というコストはかかりますが、法人の信用力が高ければ年1%台という低コストで調達できるケースもあり、最も一般的な方法といえるでしょう。
2つ目はエクイティファイナンス(資本を増やす方法)です。ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家からの出資、株式の新規発行による増資がこれに当たります。返済義務がないことが最大の魅力ですが、その代わりに株式を発行するため、経営権が希薄化するリスクがあります。スタートアップや高成長フェーズの企業に向いている方法です。
3つ目はアセットファイナンス(資産を現金化する方法)です。ファクタリングや手形割引、不動産売却など、自社が保有する資産を売却・流動化して現金を得る方法です。借入ではないため負債が増えず、バランスシートを悪化させにくいという利点があります。
自社に合った資金調達方法の選び方3つのポイント
中小企業庁の「中小企業白書」でも指摘されているように、中小法人の多くが銀行融資に依存しがちですが、実際にはそれ以外の選択肢も豊富に存在します。自社に最適な方法を選ぶためには、次の3つの視点で検討することをおすすめいたします。
まず、調達の緊急度です。「今日中に資金が必要」という場合はファクタリングやビジネスローン、「1ヶ月以内」であれば銀行融資や公的融資、「半年以上かけてもよい」なら補助金やエクイティといったように、タイムラインで選択肢が変わります。
次に、調達コストの許容範囲です。銀行融資であれば年利1%~3%程度で済みますが、ビジネスローンは年利5%~18%、ファクタリングの手数料は買取額の1%~20%と幅があります。コストを最優先にするのか、スピードを優先するのかで最適解が異なります。
最後に、自社の財務状況と成長フェーズです。創業間もない法人であれば日本政策金融公庫や制度融資が現実的ですし、安定した売掛金がある企業であればファクタリングが有効です。急成長を目指すスタートアップであればエクイティファイナンスが選択肢に入ってきます。
銀行融資(プロパー融資・信用保証協会付き融資)
法人の資金調達方法として、まず最初に検討していただきたいのが銀行融資です。金利が低く、まとまった金額を長期間にわたって借り入れられるため、事業運営の基盤となる資金調達手段といえます。銀行融資には大きく分けて「プロパー融資」と「信用保証協会付き融資」の2種類がありますので、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
プロパー融資の特徴と審査のポイント
プロパー融資とは、信用保証協会の保証を付けずに銀行が直接融資を行う方法です。保証料が不要なため、実質的な借入コストを抑えられるというメリットがあります。
プロパー融資の最大の特徴は、銀行が自らリスクを負って融資するため、審査基準が比較的厳しい点です。一般的に、2期以上の黒字決算があること、自己資本比率が一定水準以上であること、安定した売上実績があることなどが求められます。つまり、設立間もない法人や業績が不安定な企業にとっては、ハードルが高い方法ともいえるでしょう。
一方で、プロパー融資を受けられるということは、銀行からの信用力が高い証拠でもあります。融資限度額に明確な上限がないケースが多く、信用保証協会付き融資と比べて大きな金額を調達できる可能性があるのも魅力です。金利の目安は年1%~3%程度で、長期の運転資金や設備投資に適しています。
ただし、審査には決算書3期分、事業計画書、資金繰り表などの提出を求められるのが一般的です。審査期間も2週間~1ヶ月程度かかるため、急ぎの資金ニーズには対応しにくい点にはご注意ください。
信用保証協会付き融資の仕組みとメリット
全国信用保証協会連合会が運営する信用保証制度は、中小法人の資金調達を支えるセーフティネットとして広く利用されています。信用保証協会が「保証人」の役割を果たすことで、銀行にとっての貸し倒れリスクが軽減され、創業間もない法人や業績が不安定な企業でも融資を受けやすくなる仕組みです。
具体的な流れとしては、まず法人が銀行に融資を申し込み、銀行を通じて信用保証協会に保証を依頼します。保証協会が審査を行い、保証承諾が出れば銀行から融資が実行されるという形です。万が一、法人が返済不能に陥った場合は、保証協会が銀行に対して代位弁済を行います。
メリットとしては、プロパー融資と比べて審査のハードルが下がること、創業期や業績が安定しない時期でも利用しやすいこと、金利も年1%~3%程度と比較的低い水準に抑えられることが挙げられます。
注意点として、保証料(年0.5%~2%程度)が別途発生するため、金利と合わせた実質コストはプロパー融資よりやや高くなります。また、保証限度額は一般的に無担保で8,000万円、有担保で2億8,000万円(セーフティネット保証を含む場合は別枠あり)と上限が設けられている点も覚えておきましょう。
銀行融資の金利相場と返済シミュレーション
日本政策金融公庫が公表している融資金利を参考にすると、法人向け銀行融資の金利相場は以下のようなイメージになります。この数値を把握しておくと、他の資金調達方法とのコスト比較がしやすくなりますので、ぜひ参考になさってください。
例えば、1,000万円を年利2%・5年返済(元利均等方式)で借り入れた場合、毎月の返済額は約17.5万円、5年間の総返済額は約1,050万円で、利息の総額は約50万円です。同じ金額をビジネスローン(年利10%)で借りた場合、毎月の返済額は約21.2万円、総返済額は約1,275万円となり、利息だけで約275万円になります。つまり、金利の差だけで225万円もの違いが生じるのです。
このシミュレーションからも分かるように、時間に余裕がある場合は銀行融資を優先的に検討することが、コスト面では最も合理的な選択といえるでしょう。
銀行融資の審査に通りやすくする5つのコツ
銀行融資の審査を通過するためには事前の準備が非常に重要です。以下の5つのポイントを押さえておくと、審査通過率が大きく変わりますので、ぜひ実践してみてください。
1つ目は、決算書の内容を整えることです。銀行が最も重視するのは過去の決算書です。売上高、営業利益、自己資本比率などの主要指標が安定していることが理想的ですが、赤字決算の場合でも、その原因と改善策を明確に説明できれば評価が変わることもあります。
2つ目は、具体的な事業計画書を作成することです。資金の使途、返済計画、売上予測などを数値で示した事業計画書があると、銀行担当者の信頼を得やすくなります。「なぜその金額が必要なのか」「どのように返済するのか」を論理的に説明できる資料を準備しましょう。
3つ目は、メインバンクとの関係を築いておくことです。普段から取引のある銀行に相談するほうが、審査がスムーズに進む傾向があります。法人口座の入出金実績や預金残高などが審査の参考情報になるためです。
4つ目は、資金繰り表を作成しておくことです。今後6ヶ月~1年間のキャッシュフローの見通しを示す資金繰り表は、銀行が融資判断を行う際の重要資料です。月次の入出金予測を具体的に記載し、資金需要の根拠を明確にしましょう。
5つ目は、複数の銀行に相談することです。1行だけに依存するのではなく、メガバンク、地方銀行、信用金庫など複数の金融機関にアプローチすることで、より良い条件を引き出せる可能性が高まります。
日本政策金融公庫・制度融資(公的融資)
銀行融資と並んで、法人の資金調達の柱となるのが公的融資です。特に日本政策金融公庫と地方自治体の制度融資は、民間の銀行融資と比べて金利が低く、創業期や業績が不安定な時期でも利用しやすいという特徴があります。「まだ実績が少なくて銀行融資のハードルが高い」という法人経営者の方にとって、心強い選択肢となるでしょう。
日本政策金融公庫の主な融資制度と対象者
日本政策金融公庫は、国が100%出資する政策金融機関であり、民間金融機関では対応が難しい中小企業や小規模事業者に対して融資を行っています。法人向けの主な融資制度としては、一般貸付(運転資金・設備資金)、新規開業・スタートアップ支援資金、経営環境変化対応資金、企業活力強化資金などがあります。
日本政策金融公庫の大きな魅力は、金利の低さです。制度や融資期間によって異なりますが、年1%~2.5%程度で利用できるケースが多く、民間の銀行融資と同等かそれ以下のコストで資金を調達できます。また、創業2期未満の法人でも融資対象となる制度が用意されているため、設立間もない法人にとっても活用しやすい存在です。
融資限度額は制度によって異なりますが、一般貸付で4,800万円(特定設備資金は7,200万円)、新規開業・スタートアップ支援資金で7,200万円が上限の目安です。返済期間は運転資金で5年~7年、設備資金で10年~20年が一般的で、据置期間(元金返済の猶予期間)が設けられている制度も多くあります。
ただし、審査には2週間~1ヶ月程度かかることが多く、即日の資金調達には向いていません。急ぎの資金ニーズがある場合は、ファクタリングやビジネスローンと併用することを検討なさるとよいでしょう。
地方自治体の制度融資を活用する方法
中小企業庁の施策でも推進されている制度融資は、都道府県や市区町村が地域の中小企業を支援するために設けている融資制度です。自治体・金融機関・信用保証協会の3者が連携して融資を行う仕組みで、一般的な銀行融資よりも低い金利で借り入れられるのが特徴です。
制度融資のメリットとしては、金利が年1%~2%程度と非常に低いこと、信用保証料の一部を自治体が負担してくれるケースがあること、利子補給制度(支払った利息の一部が戻ってくる制度)を設けている自治体もあることが挙げられます。例えば、東京都の場合は「東京都中小企業制度融資」として、運転資金・設備資金・創業資金など複数のメニューが用意されています。
一方でデメリットもあります。自治体・信用保証協会・銀行の3者それぞれで審査が行われるため、融資実行までに1ヶ月~2ヶ月程度かかることが多い点です。また、対象となる企業の規模や業種に制限がある場合もあるため、事前にお住まいの自治体の商工担当窓口に確認されることをおすすめいたします。
公的融資で押さえるべき必要書類と審査期間
e-Gov法令検索で確認できる中小企業信用保険法や信用保証協会法に基づき、公的融資を申し込む際には一定の書類提出が求められます。一般的に必要となる書類を整理しておきますので、申請前の準備にお役立てください。
まず、法人の基本書類として、登記事項証明書(商業登記簿謄本)、定款の写し、法人の印鑑証明書が必要です。次に、財務関連書類として、直近2~3期分の確定申告書(法人税申告書一式)と決算書、試算表(直近の月次が分かるもの)、資金繰り表が求められます。加えて、事業計画書や融資の使途を説明する資料も準備しておくとスムーズです。
審査期間の目安としては、日本政策金融公庫で約2週間~1ヶ月、制度融資で1ヶ月~2ヶ月が一般的です。書類に不備があると審査が長引く原因になりますので、事前に必要書類のチェックリストを作成し、漏れなく準備しておくことが大切です。
ビジネスローン(ノンバンク融資)
「銀行融資では審査に時間がかかりすぎる」「審査に落ちてしまった」という法人の方にとって、ビジネスローンは有力な選択肢です。ノンバンク(銀行以外の金融機関)や一部の銀行が提供するビジネスローンは、審査スピードが速く、最短即日で融資を受けられるケースもあります。ただし、金利が高めに設定されているため、利用にあたっては十分な注意が必要です。
ビジネスローンの仕組みと銀行融資との違い
金融庁の貸金業に関する規制のもと運営されているビジネスローンは、法人や個人事業主を対象とした事業性融資商品です。銀行のプロパー融資と比較すると、審査基準が柔軟で、提出書類も簡素化されていることが多い点が特徴です。
銀行融資との最大の違いは、審査スピードと金利のバランスです。銀行融資が2週間~1ヶ月かかるのに対し、ビジネスローンは最短即日~数日で融資が実行されるケースがあります。一方で、金利は年5%~18%程度と銀行融資(年1%~3%)の数倍に設定されていることが一般的です。
また、融資限度額にも違いがあります。銀行融資が数千万~数億円規模にも対応するのに対し、ビジネスローンは数十万~1,000万円程度が上限となるケースが多くなっています。つまり、ビジネスローンは「少額・短期・緊急」の資金ニーズに最も適した方法といえるでしょう。
主要ビジネスローンのスピード・金利比較
法人向けビジネスローンを提供している主要な会社の条件を把握しておくと、比較検討がしやすくなります。各社の公式サイトで最新情報を確認されることをおすすめいたしますが、一般的な傾向としては以下の通りです。
銀行系のビジネスローン(例:三菱UFJ銀行のビジネスローン「融活力」など)は、金利が比較的低め(年2%~14%程度)ですが、審査にやや時間がかかる傾向があります。一方、ノンバンク系のビジネスローンはスピード重視で、最短即日の融資に対応しているケースもあります。
選ぶ際のポイントとしては、金利だけでなく、審査スピード、融資限度額、返済期間、担保・保証人の要否を総合的に比較することが重要です。特に「年利〇%~」という表記の場合、実際に適用される金利は審査結果によって上限に近い水準になることもありますので、申し込み前に条件をしっかり確認しましょう。
ビジネスローンの注意点と利用すべき場面
ビジネスローンはあくまで「つなぎ資金」としての利用が基本です。高金利のビジネスローンを長期間にわたって利用し続けると、金利負担が経営を圧迫するリスクがあるためです。
ビジネスローンが適しているのは、具体的には次のような場面です。急な取引先への支払いが発生したとき、銀行融資の審査結果が出るまでのつなぎ資金が必要なとき、季節変動による一時的な資金不足を補いたいときなどが挙げられます。
注意点としては、まず金利の高さを十分に認識しておくことが大切です。例えば、500万円を年利15%で1年間借りた場合、利息だけで約75万円になります。また、複数のビジネスローンを同時に利用する「多重借入」は、返済負担が急激に膨らむ原因となりますので避けるようにしましょう。ビジネスローンを利用する場合は、「いつまでに返済するか」という出口戦略を明確にしてから申し込むことを強くおすすめいたします。
ファクタリング(売掛債権の早期資金化)
近年、法人の資金調達方法として急速に注目を集めているのがファクタリングです。ファクタリングとは、法人が保有する売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に売却し、入金期日よりも前に現金化するサービスのことです。融資(借入)ではなく「資産の売却」であるため、負債が増えず、信用情報にも影響しないという大きな特徴があります。
ファクタリングの仕組み(2社間・3社間の違い)
経済産業省も中小企業の資金調達手段の多様化を推進しており、ファクタリングは民法上の「債権譲渡」に基づく正当な取引です。ただし、貸金業法の規制対象外であるため、利用にあたっては仕組みを正しく理解しておくことが重要です。
ファクタリングには大きく分けて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。
2社間ファクタリングは、利用者(法人)とファクタリング会社の2者間で契約を行う方式です。売掛先(取引先)に通知せずに利用できるため、取引先との関係に影響を与えにくいのがメリットです。手数料は買取額の5%~20%程度が相場で、最短即日~数日で資金化できるスピードが魅力です。
3社間ファクタリングは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者間で契約を行う方式です。売掛先の承諾が必要なため手続きに時間がかかりますが、手数料は1%~10%程度と2社間より低く抑えられる傾向があります。売掛先に利用が知られるため、取引関係への影響を考慮する必要があります。
法人向けおすすめファクタリング会社の特徴比較
法人がファクタリングを利用する場合、どの会社を選ぶかが非常に重要です。ここでは、主要なファクタリング会社の特徴をご紹介していきます。各社の最新情報は公式サイトでご確認ください。
ビートレーディングは、累計買取額1,300億円以上の実績を持つ大手ファクタリング会社です。最短2時間での入金実績があり、手数料も2%~と業界最安水準を打ち出しています。法人・個人事業主を問わず利用でき、オンライン完結にも対応しています。
OLTAは、「クラウドファクタリング」というオンライン完結型のサービスを提供しています。手数料は2%~9%と明確で、AIを活用した審査により最短即日での資金化が可能です。手続きがすべてオンラインで完結するため、来店の手間がかからない点も魅力です。
日本中小企業金融サポート機構は、一般社団法人が運営するファクタリングサービスで、非営利法人ならではの低手数料が特徴です。法人の資金調達に関する相談にも対応しており、ファクタリング以外の資金調達方法の提案も受けられます。
ファクタリングの手数料相場と融資とのコスト比較
ファクタリングの手数料を正しく理解するためには、融資の金利との比較が欠かせません。ここでは、実質的なコストの違いを具体的に見ていきましょう。
例えば、500万円の売掛金を2社間ファクタリング(手数料10%)で資金化した場合、手数料は50万円で、手取り額は450万円となります。この売掛金の入金期日が2ヶ月後だとすると、実質的な年率に換算すると約60%に相当します。
一方、同じ500万円を銀行融資(年利2%)で借り入れた場合、2ヶ月分の利息は約1.7万円です。コストの差は一目瞭然ですよね。
つまり、ファクタリングは銀行融資と比べてコストが高い資金調達方法です。しかし、「審査が通りにくい」「即日で資金が必要」「負債を増やしたくない」「信用情報に影響を与えたくない」といった状況では、ファクタリングならではの価値があります。コストだけで判断するのではなく、自社の状況に合わせて使い分けることが大切です。
悪徳ファクタリング業者の見分け方3つのチェックポイント
ファクタリングを装った違法な貸付業者(いわゆる「偽装ファクタリング」)によるトラブルが報告されています。安全にファクタリングを利用するために、以下の3つのチェックポイントを必ず確認してください。
1つ目は、「償還請求権あり」の契約になっていないかです。正規のファクタリングは「償還請求権なし(ノンリコース)」が原則です。つまり、売掛先が支払不能になった場合でも、利用者が買い戻す義務はありません。もし「売掛先が支払わなければ、あなたが返済してください」という条件が付いている場合、それは実質的に「貸付」であり、貸金業登録のない業者が行えば違法となる可能性があります。
2つ目は、手数料が相場を大幅に超えていないかです。2社間ファクタリングで30%を超える手数料を提示された場合は、いわゆる「闇金まがい」の業者である可能性を疑ってください。正規の業者であれば、手数料の内訳や根拠を丁寧に説明してくれるはずです。
3つ目は、契約前に高額な「手数料」や「保証金」を請求していないかです。正規のファクタリング会社は、売掛債権の買取代金から手数料を差し引く形で精算するのが一般的です。契約前に現金を要求してくるような業者は、詐欺の可能性が高いため絶対に応じないでください。
補助金・助成金(返済不要の資金調達)
法人の資金調達方法の中で、唯一「返済不要」という大きなメリットを持つのが補助金・助成金です。国や地方自治体が中小企業の成長を支援するために設けた制度であり、要件を満たし審査に通過すれば、数十万~数千万円規模の資金を受け取ることができます。ただし、申請から入金までに時間がかかる点や、採択率が限られている点には注意が必要です。
2026年に法人が申請できる主な補助金・助成金一覧
中小企業庁が管轄する補助金制度は毎年見直しが行われていますが、法人にとって特に注目度の高い制度をご紹介していきます。最新の公募状況や要件は、各制度の公式ページで必ずご確認ください。
まず、ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業が新たな製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を行う際の設備投資等を支援する制度です。補助上限額は最大で数千万円規模になるケースもあり、製造業だけでなくサービス業やIT企業も対象となります。
次に、小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む経費の一部を補助する制度です。補助上限額は50万円~200万円程度と比較的少額ですが、採択率が比較的高く、初めて補助金に挑戦する法人にもおすすめです。
また、IT導入補助金はITツールの導入費用を補助する制度で、会計ソフト、受発注システム、ECサイト構築などが対象になります。デジタル化を進めたい法人にとっては見逃せない制度です。
さらに、厚生労働省が管轄する雇用関連の助成金(キャリアアップ助成金、両立支援等助成金など)は、要件を満たせば申請できる「受給権利型」であるため、補助金と比べて不採択になるリスクが低い点が魅力です。
補助金の採択率を上げるための事業計画書のポイント
中小企業庁が公開している採択結果を見ると、補助金の採択率は制度や回次によって異なりますが、概ね30%~60%程度の範囲にあります。つまり、申請すれば必ず採択されるわけではなく、事業計画書の質が採否を大きく左右するのです。
採択率を上げるために意識していただきたいのは、まず「課題の明確化」です。審査員は多数の申請書を読みますので、「自社が抱える課題は何か」「なぜこの取り組みが必要なのか」を冒頭で端的に示すことが重要です。
次に、「具体的な数値目標」を盛り込むことです。「売上を向上させる」ではなく「〇〇の導入により、月間売上を現在の800万円から1,000万円に25%向上させる」というように、定量的な目標を設定してください。
そして、「実現可能性の根拠」を示すことも大切です。「なぜその目標が達成できるのか」を、市場データや過去の実績、専門家の助言などを根拠として説明できると説得力が格段に増します。
事業計画書の作成に不安がある場合は、商工会議所の経営相談窓口や、補助金申請のサポートを行う認定支援機関(税理士・中小企業診断士など)に相談されることをおすすめいたします。
補助金申請のデメリットと注意点(入金までの期間・報告義務)
経済産業省の補助金制度は法人にとって非常に有益ですが、いくつかのデメリットも正しく理解しておく必要があります。
最大の注意点は、補助金は「後払い」であることです。事業を先に実施し、完了後に報告書を提出してから補助金が入金されるのが一般的な流れです。つまり、事業に必要な資金はいったん自社で立て替える必要があります。申請から入金までに6ヶ月~1年以上かかることもあるため、運転資金に困っている状況では補助金だけに頼ることはできません。
また、補助金を受けた後には「事業化状況報告」が義務付けられるケースが多く、数年間にわたって報告書の提出を求められることもあります。さらに、補助金で取得した設備を一定期間内に処分する場合は補助金の返還を求められる可能性もあるため、計画的な活用が必要です。
こうした特性を踏まえると、補助金は「急ぎの運転資金」ではなく「中長期的な設備投資や新規事業への投資」に活用するのが最も効果的です。
エクイティファイナンス(出資・増資・VC・エンジェル投資)
エクイティファイナンスとは、株式を発行して外部の投資家から資金を調達する方法です。ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家からの出資、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)からの投資などがこれに該当します。融資と異なり返済義務がないため、成長フェーズの企業にとっては魅力的な選択肢ですが、経営権の希薄化という大きなトレードオフが伴います。
エクイティファイナンスの種類(VC・エンジェル・CVC)
経済産業省のベンチャー支援施策でも推進されているように、日本でもスタートアップへの投資環境は年々整備が進んでいます。エクイティファイナンスの主な種類を整理しておきましょう。
ベンチャーキャピタル(VC)は、成長が見込まれるスタートアップや中小企業に対して、株式と引き換えに出資を行う投資ファンドです。数千万~数億円規模の大型調達に対応でき、資金だけでなく経営ノウハウやネットワークの提供も期待できます。ただし、VCからの出資を受けるためには、明確な成長戦略と将来のIPO(株式公開)やM&A(売却)によるイグジット計画を示す必要があり、審査のハードルは高いといえます。
エンジェル投資家は、個人の富裕層が自己資金でスタートアップに投資するケースです。VCと比べて投資判断が速く、数百万~数千万円規模の投資が中心です。投資家によっては経営アドバイスや人脈紹介などの支援を受けられることもあり、創業初期のシード段階で活用されることが多い方法です。
CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)は、事業会社が自社の戦略に関連するスタートアップに投資する形態です。資金提供に加えて、事業シナジー(共同開発、販路提供など)が期待できる点が他の出資形態との違いです。
出資を受けるメリットと「経営権希薄化」のリスク
e-Gov法令検索で参照できる会社法の規定に基づき、株式の発行は法人の重要な意思決定事項です。出資を受けるにあたっては、メリットとリスクを冷静に比較検討する必要があります。
出資の最大のメリットは、返済義務がないことです。融資と異なり毎月の返済負担がないため、調達した資金をすべて事業成長に投じることができます。また、バランスシート上は「自己資本」として計上されるため、財務体質が強化され、今後の銀行融資にもプラスの効果をもたらす場合があります。
一方、最大のリスクは経営権の希薄化です。新株を発行して出資を受けると、創業者や既存株主の持株比率が下がります。持株比率が50%を下回ると、株主総会での議決権の過半数を失い、経営上の重要な意思決定を外部投資家にコントロールされるリスクが生じます。出資を受ける際には、「どれだけの持分を渡すのか」「投資家にどのような権限を与えるのか」を慎重に交渉することが不可欠です。
エクイティとデットの使い分け判断基準
エクイティファイナンスとデットファイナンス(融資)のどちらを選ぶべきかの判断基準を整理しておきましょう。
結論としては、「確実に返済できる見込みがある」場合は融資(デット)、「返済よりも成長投資を優先すべきフェーズ」であればエクイティが適しているといえます。
具体的には、安定した売上とキャッシュフローがある法人であれば、金利の低い銀行融資を優先すべきです。経営権を手放す必要がなく、コストも低く抑えられます。一方、赤字成長フェーズにあるスタートアップや、大型の研究開発投資が必要な企業は、返済負担のないエクイティファイナンスのほうが経営の柔軟性を保てます。
また、デットとエクイティを組み合わせる方法もあります。近年注目されている「ベンチャーデット」は、融資でありながらストックオプション等を組み合わせた手法で、エクイティの希薄化を最小限に抑えつつ成長資金を調達できるため、成長期のスタートアップに人気があります。
社債・私募債の発行
社債の発行は、銀行融資に次ぐデットファイナンスの代表的な方法です。特に「私募債」は、中堅~中小企業でも活用できる資金調達手段として注目されています。銀行融資と比較して柔軟な条件設計が可能な場合もあり、資金調達の選択肢を広げたい法人経営者の方にはぜひ知っておいていただきたい方法です。
社債(私募債)の仕組みと発行の流れ
社債とは企業が投資家に対して発行する「債券」であり、満期時に元本を返済し、期間中は利息を支払う仕組みです。いわば「企業が発行する借用証書」のようなものです。
法人が社債を発行する際には、大きく「公募債」と「私募債」に分かれます。公募債は広く一般投資家を対象とするため、上場企業や大企業が利用する方法です。一方、私募債は少数(50名未満)の特定投資家を対象とするもので、発行手続きが簡素化されており、中小企業でも活用しやすい形態です。
特に「銀行保証付私募債」は、取引銀行が元利金の支払いを保証する形で発行されるため、企業の信用力を補完でき、投資家にとっても安心感があります。発行の流れとしては、取引銀行への相談、発行条件の決定、取締役会の決議、引受先の確定、発行・資金調達という順序で進むのが一般的です。
社債発行のメリット・デメリットと向いている企業の条件
e-Gov法令検索で確認できる会社法第676条以降に社債の発行に関する規定が定められていますが、実務的なメリット・デメリットを把握しておくことも大切です。
メリットとしては、まず返済方法の柔軟性が挙げられます。銀行融資が毎月の元利金返済を求められるのに対し、社債は満期一括返済(期間中は利息のみ支払い)が一般的であるため、期間中のキャッシュフロー負担が軽減されます。また、「私募債を発行できる企業」という事実自体が、対外的な信用力のアピールにもなります。
デメリットとしては、発行にかたる手数料・保証料が発生すること、発行条件として一定の財務要件(純資産額や自己資本比率など)を満たす必要があること、銀行融資と比べて手続きが煩雑な場合があることが挙げられます。
私募債が向いている企業の条件としては、純資産額が3,000万円以上かつ自己資本比率が一定水準以上あること、直近2期連続で経常利益が黒字であること、一定の業歴(通常3年以上)があることなどが一般的な目安です。
その他の資金調達方法(クラウドファンディング・不動産担保ローン・手形割引・M&A等)
ここまで紹介した主要な方法に加えて、法人が利用できるその他の資金調達手段もご紹介しておきます。メインの調達方法とはなりにくいケースも多いですが、状況によっては有効な選択肢となりますので、知識として押さえておいていただきたいと思います。
クラウドファンディング(購入型・融資型・株式型)
金融庁がルール整備を進めているクラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める仕組みです。法人が活用する場合、主に3つのタイプがあります。
「購入型」は、支援者に対してリターンとして商品やサービスを提供する方式です。新商品の開発資金を集めながら、同時にマーケティングやPR効果も得られるという一石二鳥の効果が期待できます。CAMPFIRE(キャンプファイヤー)やMakuake(マクアケ)などのプラットフォームが有名です。
「融資型(ソーシャルレンディング)」は、投資家から集めた資金を法人に貸し付ける形態で、金融商品取引法の規制対象となります。金利は年3%~10%程度と、銀行融資より高めですが、審査基準が異なるため銀行融資が難しい法人でも利用できる可能性があります。
「株式型」は、非上場企業の株式を発行して投資家から資金を募る方式で、エクイティファイナンスの一種です。スタートアップが活用するケースが増えていますが、1社あたりの年間調達上限額が1億円未満に制限されています。
不動産担保ローン・手形割引
法務省が所管する不動産登記制度を活用した不動産担保ローンは、法人が所有する不動産を担保にして融資を受ける方法です。担保があるため無担保融資よりも低い金利(年3%~10%程度)で、かつ高額(数千万~数億円)の融資を受けられるケースがあります。ただし、返済不能になった場合は担保不動産を失うリスクがあるため、慎重な判断が必要です。
手形割引は、受け取った約束手形を金融機関に持ち込み、満期日より前に現金化する方法です。手形の額面から割引料(利息相当額)を差し引いた金額を受け取ります。銀行での手形割引の割引率は年2%~5%程度が一般的で、手形が不渡りになった場合は買い戻しの義務が発生する点にご注意ください。
M&A・事業譲渡による資金化
中小企業庁が推進する事業承継・M&A支援の一環として、不採算事業や遊休資産を持つ法人が、事業の一部を売却して資金を得る方法もあります。
例えば、複数の事業を展開している法人が、コア事業に集中するために非コア事業を他社に売却し、その対価として現金を得るケースです。事業そのものの価値によっては、数千万~数億円規模の資金を一度に調達できる可能性があります。
M&Aはすべての法人に当てはまる方法ではありませんが、「成長事業に資源を集中させたい」「後継者不在の事業をどうにかしたい」という課題を抱えている法人にとっては、資金調達と経営課題の解決を同時に実現できる選択肢となり得ます。
【目的・状況別】法人の資金調達おすすめマトリクス
ここまで10種類の資金調達方法をご紹介してきましたが、「結局、自社にはどの方法が合っているのか」と迷われている方も多いのではないでしょうか。このセクションでは、法人の目的や状況に応じた最適な資金調達方法を、より具体的にご案内していきます。
緊急度別おすすめ(即日~1週間~1ヶ月以上)
中小企業が資金調達で最も重視する要素の一つが「スピード」であるとされています。緊急度に応じた最適な方法を整理しておきましょう。
即日~3日以内に資金が必要な場合: ファクタリング(2社間)またはビジネスローンが最も現実的な選択肢です。ファクタリングは売掛金さえあれば最短数時間で資金化でき、信用情報に影響しないメリットがあります。ビジネスローンはオンライン申込で最短即日融資に対応している会社もあります。
1週間~1ヶ月以内に必要な場合: 銀行融資(信用保証協会付き)や日本政策金融公庫への申込が選択肢に入ってきます。事前に必要書類を揃えておくことで、審査期間を短縮できる場合もあります。また、不動産担保ローンも比較的スピーディーに対応してもらえるケースがあります。
1ヶ月以上の猶予がある場合: プロパー融資、制度融資、補助金・助成金、エクイティファイナンスなど、すべての選択肢を検討できます。時間に余裕がある分、コストやで条件を比較して最も有利な方法を選ぶことが可能です。
売上規模・業種別おすすめ
ここでは、売上規模別のおすすめ方法を整理していきます。
年商5,000万円未満の小規模法人: 日本政策金融公庫の小規模事業者向け融資、小規模事業者持続化補助金、ファクタリング(少額対応可能な会社)が現実的な選択肢です。銀行融資はメインバンクとの関係構築を進めつつ、まずは公的融資を活用するのが堅実な戦略といえるでしょう。
年商5,000万~5億円の中小法人: 銀行融資(信用保証協会付き+プロパーの併用)を軸に、ファクタリングで短期の資金繰りを改善し、補助金で設備投資を行うという「三本柱」の組み合わせが効果的です。ものづくり補助金やIT導入補助金も積極的に活用したい規模感です。
年商5億円以上の中堅法人: プロパー融資、私募債の発行、シンジケートローンなどの選択肢が広がります。また、一部の事業を切り出してCVCからの出資を受けるなど、戦略的な資金調達が可能になるフェーズです。
「組み合わせ」で効果を最大化する資金調達戦略
業績が好調な中小企業ほど複数の資金調達手段を併用している傾向があります。1つの方法だけに依存するのではなく、複数を組み合わせることで、リスク分散とコスト最適化を同時に実現できます。
具体的な組み合わせ例をご紹介しましょう。
パターンA:「銀行融資+ファクタリング」の併用。中長期の運転資金や設備投資は低金利の銀行融資でまかない、月末の一時的な資金不足は売掛金のファクタリングで補うという方法です。融資の返済負担を抑えつつ、キャッシュフローの波を平準化できます。
パターンB:「公的融資+補助金」の併用。日本政策金融公庫の低金利融資で事業運営の基盤資金を確保しつつ、新規事業や設備投資には補助金を活用するパターンです。補助金は後払いのため、融資で先行投資の資金を確保しておく必要がある点がポイントです。
パターンC:「エクイティ+ベンチャーデット」の併用。スタートアップ向けの組み合わせです。VCからの出資で経営権の希薄化を最小限に抑えつつ、ベンチャーデットで追加の成長資金を調達します。株式の希薄化を抑えながら調達総額を増やせるため、シリーズA~B段階のスタートアップに人気のある手法です。
法人の資金調達で失敗しないための5つの注意点
ここまで資金調達の方法と選び方をご紹介してきましたが、実際の調達プロセスでは思わぬ落とし穴に遭遇することもあります。安心かつお得に資金調達を成功させるために、よくある失敗パターンと回避策を5つに整理してお伝えしていきます。
注意点① 資金使途と調達方法のミスマッチを避ける
中小企業庁の経営相談事例でも頻繁に見られるのが、「資金の使い道と調達方法が合っていない」というケースです。
例えば、3年間使い続ける設備の購入資金を、年利15%のビジネスローンで調達してしまうと、利息負担が非常に大きくなります。設備投資のような長期的な資金需要には、金利が低く返済期間が長い銀行融資や公的融資を充てるべきです。
逆に、来週の給与支払いに間に合わせるために日本政策金融公庫に申し込んでも、審査に数週間かかるため間に合いません。緊急の短期資金にはファクタリングやビジネスローンを活用し、落ち着いてから長期的な資金計画を立て直すのが正しいアプローチです。
「何のために」「いつまでに」「いくら」必要なのかを明確にした上で、それに最も適した方法を選ぶことが、資金調達成功の第一歩です。
注意点② 金利・手数料の「実質コスト」を正しく比較する
資金調達のコストは「表面的な数字」だけでは正確に比較できないことがあります。
例えば、ファクタリングの手数料が「10%」と表示されている場合、これは年率ではなく「1回あたりの手数料率」です。売掛金の入金サイトが2ヶ月であれば、年率換算で約60%に相当します。一方、銀行融資の「年利2%」は文字通り1年間のコストです。
コストを正しく比較するためには、すべての方法を「実質年率」に揃えて計算することをおすすめいたします。その上で、スピードや審査の通りやすさなどの「金額に換算しにくいメリット」も加味して、総合的に判断しましょう。
注意点③ 悪徳業者・偽装ファクタリング(実質闇金)を見抜く
ファクタリングを装った違法な貸付(偽装ファクタリング)や、法外な金利を請求するヤミ金融業者によるトラブルが後を絶ちません。
特に危険なのは、「審査なしで即日現金化」「ブラックでもOK」「他社で断られた方歓迎」といった甘い謳い文句で集客する業者です。このような業者は、実質的には高金利の貸付を行い、返済が滞ると厳しい取り立てを行うケースが報告されています。
また、「給与ファクタリング」と呼ばれるサービスは、個人の給与を債権として買い取ると謳っていますが、金融庁はこれを「貸金業に該当する」との見解を示しており、無登録業者が行えば違法です。法人向けであっても、契約内容に「償還請求権あり」の条件が含まれている場合は実質的な貸付に該当する可能性がありますので、契約書の内容を慎重に確認してください。
注意点④ 複数の調達先を比較検討する
資金調達の際には必ず複数の選択肢を比較検討してください。
銀行融資であれば、メガバンク・地方銀行・信用金庫でそれぞれ金利や審査基準が異なります。ファクタリングも、会社によって手数料や審査スピード、買取可能額に差があります。1社だけの見積もりで決めてしまうと、もっと良い条件を見逃してしまう可能性があるのです。
理想的には、最低でも2~3社から見積もりを取り、条件を横並びで比較した上で判断することをおすすめいたします。見積もりを依頼すること自体にコストはかかりませんし、競合他社の見積もりがあることで、より有利な条件を引き出せることもあります。
注意点⑤ 調達後のキャッシュフロー管理まで考える
資金調達は「ゴール」ではなく「手段」です。調達した資金をどう活用し、どのようにキャッシュフローを改善していくかまで考えておくことが、本当の意味での成功です。
融資を受けた場合は、毎月の返済額が新たな固定費として加わります。返済負担がキャッシュフローを圧迫し、再び資金不足に陥るという「負のスパイラル」に入らないよう、返済原資をどこから生み出すかを事前にシミュレーションしておきましょう。
また、ファクタリングを繰り返し利用する場合は、手数料が積み重なってコストが膨らみがちです。ファクタリングはあくまで一時的な資金繰り改善の手段と位置づけ、根本的なキャッシュフロー改善(入金サイトの短縮、経費の削減、新規売上の創出など)に並行して取り組むことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 法人設立直後でも資金調達できますか?
A: はい、設立直後でも利用できる方法はあります。
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、創業前~創業後おおむね7年以内の法人が対象です。自己資金の要件や事業計画書の提出は必要ですが、実績がなくても申込可能です。また、ファクタリングは売掛金さえあれば法人の設立年数に関係なく利用できます。ビジネスローンの一部も、設立1年未満の法人に対応しています。
Q2. 赤字決算でも利用できる資金調達方法は?
A: 赤字決算でも利用できる方法はいくつかあります。
中小企業庁の支援施策を含め、赤字決算の法人でも利用しやすい方法としては、ファクタリング(自社ではなく売掛先の信用力が審査の中心)、ビジネスローン(ノンバンク系は審査基準が柔軟)、不動産担保ローン(担保価値で融資判断)などがあります。ただし、赤字の原因と改善見込みを説明できれば、銀行融資や公的融資でも審査を通過する可能性はあります。
Q3. 銀行融資とファクタリングはどちらが得ですか?
A: コスト面では銀行融資が圧倒的に有利ですが、状況によってはファクタリングが最適解になります。
銀行融資の金利は年1%~3%程度であるのに対し、ファクタリングの手数料は実質年率に換算すると数十%になることもあります。しかし、銀行融資は審査に数週間かかり、赤字企業は審査に通りにくいという制約があります。「今日中に資金が必要」「負債を増やしたくない」「信用情報に影響させたくない」という場合は、ファクタリングのメリットがコストを上回ることもあります。
Q4. 資金調達の相談はどこにすればよいですか?
A: 公的な無料相談窓口が複数あります。
日本商工会議所の経営相談窓口、中小企業庁が全国に設置している「よろず支援拠点」、各都道府県の商工会議所・商工会などで、資金調達に関する無料相談を受けられます。また、税理士・公認会計士・中小企業診断士などの認定支援機関に相談することで、融資申請のサポートや事業計画書作成の支援を受けることも可能です。
Q5. 即日で資金調達できる方法はありますか?
A: はい、条件を満たせば即日調達が可能な方法があります。
経済産業省が推進する中小企業の資金調達多様化の一環として、ファクタリング(2社間・オンライン完結型で最短数時間)やビジネスローン(ノンバンク系で最短即日融資)が即日対応の代表的な方法です。ただし、即日対応を謳っていても、書類の準備状況や申込時間帯によっては翌営業日以降になることもありますので、午前中の早い時間帯に申込を完了させることが重要です。
Q6. 法人の資金調達に必要な書類は?
A: 方法によって異なりますが、共通して求められる書類があります。
国税庁に申告済みの法人税確定申告書(決算書含む)は、ほぼすべての資金調達方法で必要です。その他、登記事項証明書、法人の印鑑証明書、代表者の本人確認書類は基本セットとして準備しておきましょう。銀行融資であれば事業計画書と資金繰り表、ファクタリングであれば売掛金の請求書や取引先との契約書が追加で必要になります。
まとめ:法人が安心・低コストで資金調達を成功させるために
本記事では、法人が活用できる10種類の資金調達方法を、コスト・スピード・審査難易度などの観点から詳しく解説してまいりました。最後に、状況別のおすすめと成功のポイントを整理しておきます。
今すぐ資金が必要な方 → ファクタリング or ビジネスローン
- 2社間ファクタリングなら最短即日で資金化でき、負債にもなりません
- ビジネスローンは審査が柔軟ですが、金利が高いため短期利用に留めましょう
コストを抑えたい方 → 銀行融資 or 公的融資
- 日本政策金融公庫は低金利で、創業期の法人にも門戸が開かれています
- 信用保証協会付き融資を活用すれば、審査のハードルを下げられます
返済不要の資金が欲しい方 → 補助金・助成金 or エクイティ
- 補助金は後払いのため、運転資金は融資等で別途確保する必要があります
- エクイティは経営権の希薄化リスクがあるため、持株比率の設計が重要です
法人の資金調達を成功させる3つのポイント
- 自社の緊急度・目的に合った方法を選ぶ:即日の資金不足と中長期の設備投資では最適な方法が異なります
- 1つの方法に依存せず、複数の調達手段を組み合わせる:銀行融資×ファクタリング、公的融資×補助金など、リスク分散とコスト最適化を両立させましょう
- コスト(金利・手数料)は「実質年率」で横断比較する:表面的な数字に惑わされず、同じ基準で比較することが、安心かつお得な資金調達への近道です
資金調達は法人経営にとって避けて通れない課題ですが、正しい知識を持って適切な方法を選べば、必ず道は開けます。本記事が、あなたの会社の資金調達の一助となれば幸いです。